自社株評価とは?計算方法・類似業種比準価額・株価を下げる5つの方法を解説
「自社の株価ってどうやって計算するの?」「相続や事業承継のときに自社株の評価が高くて困っている」「株価を合法的に下げる方法はある?」
非上場の中小企業の株式は証券取引所で売買されないため、税務上のルールに従って評価額を計算する必要があります。この評価額が相続税・贈与税の課税ベースとなるため、評価額が高いほど税負担が大きくなります。
本記事では、自社株評価の2つの方式(類似業種比準価額・純資産価額)の仕組み・どちらを使うかの判定・株価を引き下げる合法的な方法を解説します。
自社株評価が必要な場面
- オーナー経営者が亡くなったときの相続税の計算
- 後継者への生前贈与・事業承継時の贈与税の計算
- M&Aや株式売買の際の参考価格
- 株主間の売買・争議の際の根拠
会社の規模区分:大会社・中会社・小会社
非上場株式の評価方法は、会社の規模(従業員数・取引金額・総資産)によって異なります。国税庁の通達(財産評価基本通達)により、大会社・中会社・小会社に分類されます。
- 大会社:類似業種比準価額方式で評価(または純資産価額方式との選択)
- 中会社:類似業種比準価額と純資産価額の折衷方式
- 小会社:純資産価額方式で評価(または類似業種比準価額との折衷)
類似業種比準価額方式とは
評価する会社と同じ業種の上場会社の株価を参考に、「配当・利益・純資産」の3要素を比較して評価する方法です。
計算式(概要):類似業種の株価 × (配当比準 + 利益比準 + 純資産比準)÷ 3 × 斟酌率(大会社0.7など)
📌 類似業種比準価額方式の特徴
・利益が少ない年は評価額が低くなりやすい
・配当を低く抑えることで評価額を下げられる
・業績が好調な年は評価額が上昇する
→ 収益力が高い(利益が多い)会社に有利な評価方法
純資産価額方式とは
会社の正味財産(資産から負債を引いた金額)をもとに1株の価値を評価する方法です。帳簿上の価額ではなく、相続税評価額(時価に近い価額)で再計算します。
不動産・有価証券などを多く保有している会社は、帳簿価額と相続税評価額の差が大きく、評価額が高くなりやすいです。
株価を合法的に引き下げる方法
株価の引き下げは税務上の節税対策として認められていますが、正当な経営判断の結果として行うことが大前提です。不自然な操作は否認されるリスクがあります。
①役員退職金の支給
先代経営者への役員退職金を支給することで、会社の純資産が減少し、純資産価額が下がります。退職金は損金算入できるため、法人税の節税効果もあります。功績倍率法(最終報酬月額×勤続年数×功績倍率)で適正額を計算します。
②生命保険の活用
法人契約の生命保険(逓増定期保険など)を活用することで、保険料が損金算入され利益・純資産を圧縮できます。ただし2019年の税制改正で損金算入ルールが厳格化されているため、最新のルールを確認することが必要です。
③不動産の取得
会社が収益不動産を取得することで、現預金(帳簿価額=時価)が不動産(相続税評価額は時価より低い)に変わり、純資産価額が下がります。
④配当の見直し
類似業種比準価額方式では配当が評価要素の一つです。過去3年間の配当を抑えることで、類似業種比準価額を下げることができます。
⑤持株会社の設立
持株会社(ホールディングス)を設立して株式を移転することで、評価方法の選択・経営権の分離が可能になります。組織再編を伴う高度な手法のため、専門家との連携が必須です。
⚠️ 株価引き下げの注意点
・株価引き下げ後すぐに贈与すると「租税回避行為」とみなされるリスクがある
・引き下げ策の実施から贈与まで一定期間をおくことが重要
・専門の税理士・公認会計士との綿密な計画が必須
まとめ
自社株の評価額は、会社の規模・業績・財産構成によって大きく異なります。評価額が高い場合は、事業承継の前に計画的に株価引き下げ対策を実施することが重要です。いずれの手法も単独ではなく組み合わせて実施することが効果的です。早めに専門家に相談して、最適な対策を検討しましょう。

