遺産を相続すると税金はいくら? 相続税の計算方法を具体例でわかりやすく解説
家族が亡くなり遺産を相続することになったとき、まず気になるのが税金の負担ではないでしょうか。相続で発生する税金は相続税だけとは限らず、財産の種類によっては他の税金がかかることもあります。この記事では、遺産相続にかかる税金の全体像と、相続税の具体的な計算方法を紹介します。
遺産を相続するとどんな税金がかかる?
遺産を相続したときにまず思い浮かぶのは相続税ですが、実際には相続税がかからないケースも多くあります。一方で、相続した不動産を後から売却した場合の譲渡所得税や、相続登記にともなう登録免許税など、相続税以外の税金・費用が発生する場面もあります。ここでは主に相続税を中心に、いつ、どのくらいの負担が生じるのかを整理します。
相続税はいくらからかかる?
相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があり、遺産総額がこの金額以下であれば相続税はかかりません。法定相続人が3人であれば基礎控除は4,800万円になるため、遺産総額がそれ以下であれば申告も納税も不要です。国税庁の統計でも、実際に相続税がかかる人は亡くなった人全体の1割前後にとどまっており、相続=必ず相続税がかかる、というわけではありません。
相続税の計算方法
遺産総額を計算
まず、預貯金・有価証券・不動産・生命保険金(非課税枠を超える部分)など、相続税の対象になるすべての財産を洗い出し、それぞれの相続税評価額を合計します。借入金や葬儀費用など、遺産から差し引ける債務・費用があれば、あわせて控除します。
基礎控除を差し引く
遺産総額から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を求めます。この金額がマイナスになる場合は、相続税はかかりません。
法定相続分で税額を計算
課税遺産総額を、実際の遺産分割の内容にかかわらず、いったん法定相続分どおりに取得したものと仮定して各相続人の取得額を計算します。それぞれの取得額に、超過累進税率(10%〜55%)を適用して税額を算出し、全員分を合計したものが「相続税の総額」です。
実際の取得割合で税額を振り分ける
相続税の総額が決まったら、これを実際の遺産分割の割合に応じて各相続人に振り分けます。配偶者には「配偶者の税額軽減」があり、取得した財産が1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。未成年者控除や障害者控除など、対象者ごとに使える控除もあわせて適用し、最終的な各自の納税額を確定させます。
【金額別】相続税の簡易シミュレーション
配偶者と子2人が法定相続分どおりに相続したと仮定した場合の、相続税額のおおよその目安は次のとおりです。
- 遺産5,000万円:相続税はかからないケースが多い(基礎控除4,800万円以下に近いため)
- 遺産8,000万円:相続税額の目安は約100万円台
- 遺産1億円:相続税額の目安は約290万円
- 遺産2億円:相続税額の目安は約1,350万円
実際の税額は、配偶者の有無や取得割合、小規模宅地等の特例の適用有無などによって変わるため、あくまで目安として参考にしてください。
不動産を相続した場合にかかる税金
不動産を相続した場合、相続税とは別に、相続登記の際に登録免許税がかかります。税率は不動産の固定資産税評価額の0.4%です。相続税がかからないケースでも、不動産を取得した以上はこの登録免許税がかかる点に注意してください。また、相続した不動産を将来売却する場合には、売却益に対して譲渡所得税・住民税がかかりますが、取得費には被相続人が取得したときの価格を引き継ぐ点や、一定の要件を満たせば取得費に相続税額の一部を加算できる特例がある点も知っておくとよいでしょう。
相続税の申告・納税期限
相続税の申告と納税の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割協議がまとまっていなくても、この期限は延長されません。分割が間に合わない場合は、いったん法定相続分で申告・納税をしたうえで、分割が確定してから修正申告や更正の請求で調整する方法をとることになります。納税は原則として現金一括払いですが、要件を満たせば延納や物納が認められる場合もあります。
よくある質問
相続税がかからない場合でも申告は必要ですか?
遺産総額が基礎控除以下であれば、原則として申告は不要です。ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使った結果、税額がゼロになる場合は、特例を適用するために申告が必要になる点に注意してください。
借金も相続財産に含まれますか?
借入金などの債務は遺産総額から差し引くことができます。プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合は、相続放棄や限定承認によって債務の負担を避けることも検討できます。
生前贈与を受けていた場合、相続税に影響しますか?
相続開始前一定期間内(現行制度では最長7年)の贈与は、相続財産に加算して相続税を計算する「生前贈与加算」の対象になることがあります。生前贈与を受けていた場合は、その記録もあわせて確認しておく必要があります。
まとめ
遺産相続でかかる税金は、基礎控除の範囲内であれば発生しませんが、超える場合は相続税に加えて登録免許税など不動産関連の税負担も発生します。計算の仕組みを理解しておくと、おおよその負担額をイメージしやすくなり、10か月という申告期限に向けた準備もしやすくなります。

