無償返還の届け出をした土地を第三者に売却した場合の税務上の取り扱い
無償返還の届け出をした土地の第三者売却とは
無償返還の届け出を提出した土地(法人等に貸し付けている土地)を、土地オーナー(個人)が第三者に売却するケースがあります。この場合、売却価格の算定・課税関係が通常の土地売却とは異なる点があり、慎重な対応が必要です。
売却前の状況の整理
無償返還の届け出をした土地を第三者に売却する場合、以下の状況を整理する必要があります。
- 土地上の建物は法人が所有しているか(法人名義か個人名義か)
- 賃貸借契約の内容(残存期間・地代の額)
- 売却先が第三者か、借地人(法人)か
第三者に売却する場合の売却価格の考え方
①底地として売却する場合
無償返還の届け出をした土地は、将来無償で返還される前提があるため、法人(借地人)に借地権は発生していません。したがって、土地は底地ではなく、実質的には自用地に近い性格を持ちます。
ただし、現実には建物が建っており賃貸借契約が存在するため、第三者への売却価格は自用地価格より低くなるのが通常です。売却価格の目安は自用地価格の80%程度(相続税評価と同じ考え方)とされることが多いですが、実際の売却価格は市場での交渉によります。
②借地人(法人)に売却する場合
借地人である法人に土地を売却する場合は、自用地価格(更地価格)での売却が原則とされます。法人に借地権が認められていないため、底地としての低い価格ではなく更地価格での売買が適切です。
税務上の取り扱いと課税上の注意点
①譲渡所得の計算
土地オーナー(個人)が土地を売却した場合、譲渡所得(売却価格 − 取得費 − 譲渡費用)に対して所得税・住民税が課税されます。所有期間5年超であれば長期譲渡(税率20.315%)、5年以下は短期譲渡(税率39.63%)となります。
②低額譲渡に注意
個人が法人に対して著しく低い価格(時価の50%未満が目安)で土地を売却した場合、時価との差額が法人への寄附とみなされ(法人税)、また個人にも贈与税等の課税が生じる可能性があります。適正な時価での取引が重要です。
③法人側の取り扱い
法人が土地を取得(購入)した場合、取得価格で固定資産として計上します。無償返還の届け出の効力は消滅します。売却後は新たな土地所有者と法人との間で賃貸借関係の見直しが必要になります。
まとめ
無償返還の届け出をした土地の第三者売却は、売却価格の算定・譲渡所得の計算・低額譲渡リスクなど、専門的な判断が必要です。売却先が第三者か借地人(法人)かによっても取り扱いが異なります。必ず事前に税理士・弁護士に相談の上で進めることをお勧めします。当ラボでは無料相談を承っております。

