簿記試験の例題と対策|日商簿記3級の出題構成とネット試験(CBT)攻略法を解説
経理・会計の基礎知識として、また就職・転職やキャリアアップのために日商簿記検定の取得を目指す方は少なくありません。相続や事業承継の実務でも、決算書や帳簿の見方を理解しておくと財産の把握がスムーズになるため、簿記の知識は幅広い場面で役立ちます。今回は、日商簿記3級を中心に、試験の出題構成とオリジナルの例題、そして効率よく合格を目指すための対策のポイントを解説します。
日商簿記3級試験の概要
日商簿記3級は、日本商工会議所が主催する検定試験で、商業簿記の基礎知識(仕訳、帳簿記入、決算書の作成など)が問われます。受験方式には、会場で年3回実施される「統一試験(ペーパー方式)」と、テストセンターで随時受験できる「ネット試験(CBT方式)」の2種類があり、出題内容・難易度・合格基準はいずれも共通です。試験時間は60分、100点満点中70点以上の得点で合格となります。CBT方式は自分の都合の良い日程で受験でき、試験終了後その場で合否がわかるという特徴があるため、近年は多くの受験者がCBT方式を選択しています。
出題構成と配点
3級の試験は、次の3つの大問で構成されます。第1問は仕訳問題で、配点は45点(15問×3点)です。日々の取引を借方・貸方に分けて記帳する基本的な仕訳の知識が問われ、出題数が多いため、確実に得点したい大問です。第2問は配点20点で、勘定記入や補助簿の選択、伝票会計など、第1問・第3問に比べてやや細かい論点から出題されます。3つの大問の中では難易度が高めとされ、他の2問と比べて得点しにくい傾向があります。第3問は配点35点で、決算整理後残高試算表や貸借対照表・損益計算書、精算表の作成など、一連の決算処理を問う総合問題が出題されます。第1問(仕訳)と第3問(決算書類作成)だけで80点分の配点があるため、この2つの大問を優先的に得点できる実力を養うことが、合格への近道といえます。
例題で確認する頻出論点
ここでは、3級で問われる基本的な考え方を、オリジナルの例題で確認してみましょう。
例題1(仕訳)
商品50,000円を仕入れ、代金は掛けとした。この取引を仕訳しなさい。
【考え方】商品を仕入れたことで「仕入」という費用が発生し、代金は後払い(掛け)のため「買掛金」という負債が増加します。仕訳は「(借方)仕入 50,000 /(貸方)買掛金 50,000」となります。
例題2(仕訳)
従業員への給料300,000円について、源泉所得税20,000円を差し引いた残額を普通預金口座から支払った。この取引を仕訳しなさい。
【考え方】給料300,000円は「給料」という費用として計上します。源泉所得税20,000円は会社が一時的に預かって後日納付する義務があるため「預り金」という負債で処理し、残額280,000円を「普通預金」の減少として記帳します。仕訳は「(借方)給料 300,000 /(貸方)預り金 20,000、普通預金 280,000」となります。1つの取引で貸方が複数の科目に分かれる、いわゆる複合仕訳の代表例です。
例題3(決算整理の考え方)
決算にあたり、備品(取得原価500,000円、耐用年数5年、残存価額0円)について定額法で減価償却費を計上する。1年分の減価償却費はいくらか。
【考え方】定額法では「(取得原価-残存価額)÷耐用年数」で1年あたりの減価償却費を計算します。本問では500,000円÷5年=100,000円が1年分の減価償却費です。仕訳は「(借方)減価償却費 100,000 /(貸方)減価償却累計額 100,000」となり、この処理は第3問の決算書類作成問題で頻出する論点の一つです。
効果的な学習・対策のポイント
第一に、仕訳の反復練習を最優先することです。3級の学習内容のほとんどは、最終的に「正しく仕訳ができるか」に集約されます。第1問の仕訳問題はもちろん、第3問の決算書類作成問題も、個々の取引を正しく仕訳できることが前提となるため、テキストの例題や問題集を繰り返し解き、仕訳のパターンを体に染み込ませることが合格への近道です。
第二に、解く順番と時間配分を意識することです。60分という限られた時間の中で、配点の高い第1問(仕訳・45点)と第3問(決算書類作成・35点)を優先的に解き、比較的難易度が高い第2問は最後に回すという戦略が有効とされています。目安として、第1問に15~20分、第3問に25~30分、残りを第2問にあてるとバランスがとれます。
第三に、電卓操作に慣れておくことです。試験では計算機能のみの電卓(印刷機能・メロディ機能・プログラム機能・辞書機能付きは使用不可)を使用しますが、日頃から同じ電卓で問題演習を行い、キーの配置や操作に指を慣らしておくと、本番での計算ミスや時間ロスを減らせます。
第四に、CBT方式で受験する場合は、事前に模擬試験(体験プログラム)でパソコン画面上での操作に慣れておくことをおすすめします。答案をキーボード入力やマウスクリックで作成する形式は、紙の試験とは勝手が異なるため、操作に戸惑って時間をロスしないよう、公開されている模擬試験を一度は体験しておくとよいでしょう。
まとめ
日商簿記3級は、第1問(仕訳・45点)、第2問(20点)、第3問(決算書類作成・35点)の3つの大問、60分・100点満点で構成され、70点以上で合格となります。学習の中心はあくまで仕訳の正確な理解であり、基本的な例題を繰り返し解いて仕訳のパターンに慣れることが合格への一番の近道です。配点の高い第1問・第3問を優先する時間配分と、CBT方式特有の画面操作への慣れもあわせて意識しながら、計画的に対策を進めましょう。

