自社株の相続税・贈与税シミュレーション|事業承継税制の節税効果を具体的に解説

「自社株を後継者に渡したいが、税金がいくらかかるのか見当がつかない」「事業承継税制を使うと実際どれだけ節税になるの?」「株価を下げてから贈与すると効果はある?」

事業承継における最大の障壁の一つが自社株にかかる相続税・贈与税です。本記事では、自社株の税負担を具体的な数字でシミュレーションし、事業承継税制や株価引き下げ対策の効果を解説します。

シミュレーションの前提条件

📋 前提

・会社:製造業・中会社(従業員30名・年商5億円)

・先代経営者(父・65歳)が全株式を保有

・自社株の相続税評価額:3億円(類似業種比準価額と純資産価額の折衷方式)

・後継者(子・40歳):役員就任済み3年以上

・その他の相続財産:1億円(自宅・預貯金など)

・法定相続人:後継者(子)1人のみ

シミュレーション①:何も対策しない場合(相続で取得)

先代が対策せずに亡くなり、後継者が自社株3億円+その他財産1億円=計4億円を相続した場合。

相続税の計算

遺産総額:4億円

基礎控除:3,000万+600万×1人=3,600万円

課税遺産総額:4億-3,600万=3億6,400万円

相続税額:3億6,400万×50%-4,200万(控除額)=1億4,000万円

🚨 対策なしの税負担

後継者は1億4,000万円の相続税を10ヶ月以内に納付しなければなりません。自社株自体は現金化しにくいため、個人資産や会社の資金(役員報酬の蓄積など)で支払う必要があります。これが事業承継を困難にする大きな原因です。

シミュレーション②:事業承継税制(特例措置)を活用した場合

同じ条件で、事業承継税制の特例措置を活用して先代から後継者へ生前贈与した場合。

贈与税の計算(特例措置適用前)

贈与財産:自社株3億円

贈与税(特例税率、20歳以上の直系卑属への贈与):(3億-110万)×55%-640万=約1億5,800万円

事業承継税制(特例措置)適用後

全株式・贈与税額の100%が猶予

納付税額:0円(猶予期間中)

免除条件:後継者が亡くなるまで会社経営を継続した場合に全額免除

💡 事業承継税制の効果

対策なし(相続):1億4,000万円の相続税

事業承継税制(贈与):0円(猶予→免除)

最大1億4,000万円超の税負担を回避

ただし毎年の継続届出・年次報告が必要。会社を売却・廃業すると猶予取消になる点に注意。

シミュレーション③:株価引き下げ対策の効果

事業承継税制を使わない場合でも、株価を引き下げてから贈与・相続することで税負担を減らせます。

役員退職金支給による株価引き下げ

先代(65歳)への役員退職金を支給した場合の効果:

・最終報酬月額200万円×勤続30年×功績倍率3=退職金1億8,000万円(適正額の目安)

・退職金は損金算入→会社の純資産が約1億8,000万円減少

・純資産価額の減少により自社株評価額が大幅に下落

 (例:3億円→1億5,000万円に低下と仮定)

株価引き下げ後の相続税計算

遺産総額:自社株1億5,000万円+その他財産1億円=2億5,000万円

課税遺産総額:2億5,000万-3,600万=2億1,400万円

相続税額:2億1,400万×45%-2,700万=約6,930万円

→ 対策前(1億4,000万円)と比べて約7,070万円の節税

シミュレーション④:株価引き下げ+事業承継税制の組み合わせ

最強の組み合わせは「まず株価を引き下げてから、事業承継税制を使って贈与する」方法です。

・役員退職金で株価を3億円→1億5,000万円に引き下げ

・事業承継税制(特例措置)で全株式を贈与→贈与税100%猶予

・その他財産(1億円)を相続で取得→相続税:1億-3,600万=6,400万×30%=約1,620万円

・合計税負担(自社株分):0円(猶予→免除)

各シミュレーションの比較まとめ

📊 自社株の税負担比較(自社株3億円のケース)

対策なし(相続):約1億4,000万円

事業承継税制のみ(贈与):0円(猶予・免除)

株価引き下げのみ(相続):約6,930万円

株価引き下げ+事業承継税制(贈与):0円(猶予・免除)+その他財産分

まとめ

自社株の税負担対策は、事業承継税制の特例措置(2027年3月末期限)と株価引き下げ対策の組み合わせが最も効果的です。しかし要件が複雑で、手続きを誤ると猶予が取り消されるリスクもあります。必ず事業承継に精通した税理士・認定支援機関と連携して進めてください。まずは無料相談からお気軽にご連絡ください。

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