自筆証書遺言と公正証書遺言の違い|どちらが向いている?メリット・デメリットを徹底比較

遺言書を作成しようと思ったとき、「自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらを選べばいいの?」と迷う方は多いでしょう。それぞれに特徴・メリット・デメリットがあり、ご自身の状況に合った方法を選ぶことが大切です。本記事では、2種類の遺言書の違いをわかりやすく比較・解説します。

この記事でわかること

この記事でわかること
✅ 自筆証書遺言と公正証書遺言の基本的な違い
✅ それぞれのメリット・デメリット
✅ どちらが向いているケース
✅ 法改正による自筆証書遺言の保管制度
✅ 遺言書作成の際の注意点

遺言書の種類

民法上、遺言書には自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言の3種類があります。実務では自筆証書遺言と公正証書遺言がほとんどを占めており、秘密証書遺言はほとんど利用されていません。本記事では、この2種類を詳しく解説します。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言の基本

自筆証書遺言とは、遺言者が遺言書の全文・日付・氏名を自筆(手書き)で作成し、押印した遺言書です(民法第968条)。費用をかけずに一人で作成できますが、法律上の要件を満たさないと無効になるリスクがあります。

自筆証書遺言のメリット

  • 費用がかからない:公証人手数料が不要で、自分だけで作成できます。
  • いつでも・どこでも作成できる:特別な手続きは不要で、思い立ったときにすぐ書けます。
  • 内容を秘密にできる:遺言書の内容を生前は誰にも知られずに保管できます。
  • 何度でも書き直しができる:作成後に内容を変えたい場合、新しい遺言書を作ることで撤回・変更できます。

自筆証書遺言のデメリット

  • 要件を満たさないと無効になる:全文自筆・日付・氏名・押印が必要で、一つでも欠けると無効です。
  • 紛失・改ざんのリスク:自宅保管の場合、紛失・隠蔽・改ざんのリスクがあります。
  • 家庭裁判所の検認が必要:相続開始後、家庭裁判所での検認手続きが必要です(法務局保管制度を利用した場合を除く)。
  • 遺言内容の不備リスク:専門家のチェックなしで作成した場合、法的に問題のある内容になる可能性があります。

公正証書遺言とは

公正証書遺言の基本

公正証書遺言とは、公証人が遺言者の意思に基づいて遺言書を作成し、公証役場に原本を保管する遺言書です(民法第969条)。2人以上の証人の立会いが必要です。最も信頼性が高い遺言書の形式とされています。

公正証書遺言のメリット

  • 法的有効性が高い:公証人が作成するため、形式的な不備による無効リスクがほぼありません。
  • 原本が公証役場に保管される:紛失・改ざん・隠蔽のリスクがなく、安全に保管されます。
  • 家庭裁判所の検認が不要:相続開始後、すぐに遺言書を執行できます。
  • 専門家のチェックが入る:公証人が内容を確認するため、法的に問題のある表現を事前に修正できます。

公正証書遺言のデメリット

  • 費用がかかる:公証人手数料(財産額に応じて数万円〜)と証人への謝礼が必要です。
  • 証人が必要:2人以上の証人が必要で、相続人や受遺者などは証人になれません。
  • 内容が証人に知られる:証人が立ち会うため、遺言内容を完全に秘密にはできません。
  • 作成に手間がかかる:公証役場への出向や事前準備が必要です。

自筆証書遺言保管制度(法務局保管)

2020年7月10日から、法務局による自筆証書遺言書保管制度が開始されました。この制度を利用すると、法務局(遺言書保管所)に自筆証書遺言書を保管してもらうことができます。主なメリットは以下の通りです。

  • 紛失・改ざん・隠蔽のリスクがなくなる
  • 家庭裁判所の検認が不要になる
  • 遺言者の死亡後、相続人等への通知サービスがある

保管申請の手数料は3,900円(1件)と比較的安価です。ただし、遺言書の内容の法律的なチェックは行われないため、遺言書の書き方には引き続き注意が必要です。

どちらを選ぶべきか

自筆証書遺言が向いているケース

費用を抑えたい方、内容が比較的シンプルな方、法務局保管制度を利用できる方(法的形式の確認と紛失防止のため)に向いています。

公正証書遺言が向いているケース

財産が多い・複雑な方、相続人間でトラブルが予想される方、認知症の初期段階で遺言能力が問われる可能性がある方、手間よりも確実性を重視する方に向いています。

まとめ:2種類の遺言書の比較

自筆証書遺言は手軽で費用がかからない反面、無効リスクや管理の問題があります。公正証書遺言は費用と手間はかかりますが、法的安全性が高く、相続トラブルを防ぐ効果が期待できます。財産の規模・家族の状況・コスト感などを総合的に考慮して選択することをお勧めします。遺言書作成についてのご相談は、相続・事業承継ラボへお気軽にお問い合わせください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です