相続放棄の手続きと期限|3ヶ月以内にすべきこと・注意点を解説
「相続したくない」「借金を引き継ぎたくない」という場合、相続放棄という選択肢があります。しかし相続放棄には3ヶ月という期限があり、手続きを誤ると放棄できなくなることもあります。本記事では、相続放棄の手続きの流れ・期限・注意点・よくある疑問をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
この記事でわかること
✅ 相続放棄とは何か・単純承認・限定承認との違い
✅ 相続放棄の手続きの流れと必要書類
✅ 3ヶ月の熟慮期間・期限延長の方法
✅ 相続放棄が無効になるケース(法定単純承認)
✅ 相続放棄後の次順位相続人への影響
相続放棄とは
3つの相続方法
相続が発生した場合、相続人には3つの選択肢があります(民法第915条〜938条)。
- 単純承認:プラスの財産もマイナスの財産(借金)も無限に引き継ぐ
- 限定承認:プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を引き継ぐ(相続人全員が共同で行う必要あり)
- 相続放棄:相続の権利・義務のすべてを放棄する(プラスもマイナスも引き継がない)
相続放棄をすると、その人は初めから相続人でなかったとみなされます(民法第939条)。
相続放棄が有効な主なケース
- 被相続人に多額の借金・保証債務がある
- 相続財産よりも負債の方が多い
- 不要な不動産(管理が難しい土地・建物)を引き継ぎたくない
- 他の相続人に財産を集中させたい(二次相続対策など)
相続放棄の期限(熟慮期間)
相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に行う必要があります(民法第915条)。これを「熟慮期間」といいます。
通常は相続開始(被相続人の死亡)を知った日が起算点となりますが、次順位の相続人(例:先順位が全員放棄した後に相続人となった場合)については、自分が相続人になったことを知った日が起算点となります。
期限の延長申請
3ヶ月以内に相続財産の調査が完了しない場合は、家庭裁判所に「相続の承認・放棄の期間伸長の申立て」を行うことができます。申立ては期限内に行う必要があり、家庭裁判所が相当と認めれば期間を延長してもらえます。
相続放棄の手続きの流れ
- 相続財産・負債の調査:被相続人の預金通帳・借用書・信用情報機関への照会などで財産と借金を把握します。
- 相続放棄申述書の作成:家庭裁判所に提出する「相続放棄申述書」を作成します(裁判所のウェブサイトで書式入手可)。
- 家庭裁判所への申述:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書と必要書類を提出します。
- 照会書への回答:裁判所から照会書が届いた場合、内容に回答して返送します。
- 相続放棄申述受理通知書の受領:放棄が受理されると「相続放棄申述受理通知書」が届きます。必要に応じて「相続放棄申述受理証明書」を取得します(債権者への提示など)。
主な必要書類
- 相続放棄申述書
- 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本
- 申述人(放棄する人)の戸籍謄本
- 収入印紙800円(1人につき)
- 郵便切手(裁判所により異なる)
相続放棄が無効になるケース(法定単純承認)
次のような行為を行った場合、相続を承認したとみなされ(法定単純承認)、その後の相続放棄ができなくなります(民法第921条)。
- 相続財産の処分:相続財産を売却・贈与・消費するなど
- 相続財産の隠匿・消費:財産を隠したり使い込んだりすること
- 熟慮期間の徒過:3ヶ月以内に放棄も限定承認もしなかった場合
被相続人の預金を葬儀費用に使用した場合でも、金額・目的によっては法定単純承認と認定されるリスクがあります。放棄を検討している場合は、相続財産に手をつけないよう注意が必要です。
相続放棄後の次順位相続人への影響
相続放棄をすると、放棄した人は相続人でなくなります。その結果、次の順位の相続人(例:子が全員放棄→親、親も放棄→兄弟姉妹)に相続権が移ります。
借金を抱えた被相続人の相続放棄を行う場合、次順位の相続人にも放棄が必要になることがあります。あらかじめ親族全員に状況を共有し、連携して放棄手続きを進めることが重要です。
まとめ
相続放棄は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述することで行えます。財産処分などの法定単純承認に注意しながら、期限内に判断することが重要です。相続財産の調査から放棄の手続きまで、司法書士や弁護士に早めに相談することをお勧めします。相続・事業承継ラボでも、相続放棄に関するご相談を承っております。


