事業承継税制(特例措置)とは?要件・手続き・2027年3月期限を完全解説
「会社を子どもに継がせたいが、自社株の評価額が高すぎて相続税・贈与税が払えない」「事業承継税制を使えば株式の税金が猶予されると聞いたが、どういう制度?」「2027年3月末という期限が迫っていると聞いたが、今すぐ何をすべき?」
中小企業のオーナー経営者にとって、自社株式にかかる相続税・贈与税は事業承継の最大の障壁の一つです。評価額が数億円に上ることも珍しくなく、後継者が税金を払えずに会社を手放さざるを得ないケースさえあります。
これを解決するために設けられたのが「事業承継税制」です。本記事では、特例措置の内容・適用要件・手続きの流れ・注意点を詳しく解説します。
事業承継税制とは?
事業承継税制(非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除の特例)とは、後継者が先代経営者から自社株式を相続・贈与によって取得した場合、株式にかかる贈与税・相続税の納税を猶予し、一定の要件を満たせば最終的に免除する制度です(租税特別措置法70条の7〜)。
一般措置と特例措置の違い
📊 一般措置 vs 特例措置
・猶予割合:一般措置は議決権株式の2/3まで・税額の80%猶予 → 特例措置は全株式・税額の100%猶予
・後継者数:一般措置は1人 → 特例措置は最大3人まで
・雇用維持要件:一般措置は5年平均で80%維持が必須 → 特例措置は満たせない場合も継続可能(理由の記載が必要)
・期限:特例措置は2027年3月31日までに特例承継計画を提出した法人が対象
特例措置の適用要件
会社側の要件
- 中小企業者であること(資本金・従業員数が業種ごとの基準以下)
- 上場会社・風俗営業会社でないこと
- 資産管理会社(過度に資産保有が目的の会社)でないこと
先代経営者(贈与者・被相続人)側の要件
- 会社の代表者であったこと
- 贈与の直前において筆頭株主であったこと(同族関係者と合わせて50%超の議決権を保有)
後継者(受贈者・相続人)側の要件
- 会社の代表者であること
- 20歳以上であること(相続の場合)/ 18歳以上であること(贈与の場合)
- 役員就任から3年以上経過していること(贈与の場合)
- 後継者及びその同族関係者で50%超の議決権を保有し、かつ筆頭株主であること
手続きの流れ
📋 特例措置の手続きステップ
STEP1:認定経営革新等支援機関(税理士・金融機関など)の指導・助言を受け「特例承継計画」を策定
STEP2:都道府県知事に特例承継計画を提出・確認を受ける(期限:2027年3月31日)
STEP3:株式の贈与または相続が発生
STEP4:都道府県知事に「円滑化法の認定」を申請
STEP5:税務署に贈与税・相続税の申告書を提出(納税猶予を申請)
STEP6:毎年、都道府県への年次報告と税務署への継続届出書を提出
猶予が免除(取消)されるケース
以下の事由が発生すると、猶予税額と利子税を一括納付しなければなりません。
- 会社を廃業・解散した場合
- 株式を第三者に譲渡した場合(M&A・売却など)
- 後継者が代表者でなくなった場合
- 年次報告・継続届出書の提出を怠った場合
ただし、後継者が死亡した場合・会社が倒産した場合は猶予税額が免除されます。また次の後継者へ再度贈与する場合は再承継の猶予も可能です。
雇用維持要件の緩和(特例措置)
特例措置では、5年間の平均雇用人数が80%を下回った場合でも、認定経営革新等支援機関に理由を報告することで納税猶予を継続できます。事業環境の変化への対応が容易になっています。
事業承継税制を活用する際の注意点
- 2027年3月31日が特例措置の申請期限(特例承継計画の提出)→ 今すぐ動き出す必要がある
- 毎年の手続き(年次報告・継続届出書)を怠ると即座に猶予取消になる
- M&Aや廃業を検討している場合は猶予が取り消される可能性がある
- 要件が複雑なため、税理士・認定支援機関との連携が必須
まとめ
事業承継税制の特例措置は、中小企業の円滑な事業承継を支援する強力な制度ですが、2027年3月末という期限が迫っています。まだ計画を作成していない場合は、今すぐ税理士・認定支援機関に相談してください。特例承継計画の作成自体は比較的短期間で完了できます。

