共有物の分割訴訟とは|手続きの流れ・種類・注意点を解説
共有物の分割訴訟とは
相続や共同購入などによって複数の人が不動産などの財産を共有している場合、共有者の一人でも共有関係の解消(分割)を希望したとき、他の共有者全員の合意が得られなければ裁判所に「共有物分割訴訟」を提起することができます。
共有物分割訴訟は、共有関係の解消を強制的に実現できる法的手続きです。相続不動産で共有状態が解消できないケースや、共有者間で意見が対立している場合に活用されます。
共有物分割の方法の種類
共有物の分割方法には、以下の3種類があります。裁判所は状況に応じていずれかの分割方法を命じます。
①現物分割
共有物を物理的に分割して各共有者に割り当てる方法です。土地であれば測量・分筆して各人の単独所有にします。最もシンプルな方法ですが、分割後の各土地が利用可能な形状・面積になること、各人の持分割合に応じた分割が可能なことが条件となります。
②代償分割(価格賠償)
共有物を一人の共有者が取得し、他の共有者に持分に応じた代償金を支払う方法です。現物分割が困難な場合(建物・小規模な土地など)に選択されます。代償金を支払う側に資力があることが前提となります。
③換価分割(競売)
共有物を競売にかけて売却し、その売却代金を持分割合に応じて各共有者に分配する方法です。現物分割も代償分割も困難な場合に裁判所が命じます。競売による売却となるため、市場価格より低くなることが多く、共有者全員にとって不利な結果になりやすいです。
2023年民法改正による共有制度の見直し
2023年4月施行の民法改正により、共有物の管理・分割に関するルールが一部見直されました。
- 所在不明・行方不明共有者への対応:裁判所の決定により、所在不明の共有者の持分を時価相当額で取得できる制度が新設された
- 共有物の管理の合理化:持分過半数の合意による管理行為の範囲が明確化された
共有物分割訴訟の手続きの流れ
- 共有者間での協議(任意交渉):まず共有者間で協議して合意を目指す
- 調停の申立て:合意が得られない場合、家庭裁判所に共有物分割調停を申立てる
- 訴訟の提起:調停が不成立の場合、地方裁判所に共有物分割訴訟を提起する
- 裁判所による分割方法の決定:現物分割・代償分割・換価分割のいずれかを命じる判決が出る
- 判決の執行:分筆登記・代償金の支払い・競売の実施
相続不動産の共有解消で注意すべき点
- 早期の遺産分割協議:相続発生後は速やかに遺産分割協議を行い、共有状態を解消することが最善
- 相続登記の義務化:2024年4月から相続登記が義務化(3年以内)。共有状態でも登記は必要
- 訴訟はコスト・時間がかかる:弁護士費用・裁判費用・時間的コストが大きい。できる限り任意での解決を目指すべき
- 換価分割は不利になりやすい:競売になると市場価格より低くなるため、当事者全員が損をするリスクがある
まとめ
共有物分割訴訟は、共有者間の合意が得られない場合の最終手段です。現物分割・代償分割・換価分割の3種類の分割方法があり、裁判所が状況に応じて判断します。2023年民法改正により所在不明共有者への対応も整備されました。訴訟は費用・時間のコストが大きいため、早期の任意協議・調停での解決を目指すことが重要です。当ラボでは相続不動産の共有解消についても専門家が無料相談を承っております。


