相続税における有価証券の評価方法|上場株式・非上場株式・投資信託を解説

相続財産に株式や投資信託などの有価証券が含まれる場合、それぞれの種類に応じた評価方法を正しく適用することが相続税計算の重要なポイントです。本記事では、相続税法上の有価証券の評価方法を、上場株式・非上場株式・公社債・投資信託に分けてわかりやすく解説します。

この記事でわかること

この記事でわかること
✅ 上場株式の相続税評価額の計算方法(4つの価額のうち最も低いもの)
✅ 非上場株式の評価方法(原則的評価方式・配当還元方式)
✅ 公社債(国債・社債など)の評価方法
✅ 投資信託・ETF・REITの評価方法
✅ 評価時の注意点と節税ポイント

① 上場株式の評価方法

評価の基本ルール

上場株式(金融商品取引所に上場されている株式)の相続税評価額は、以下の4つの価額のうち最も低いものを採用します(財産評価基本通達169)。

  • ① 課税時期(相続開始日)の最終価格
  • ② 課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額
  • ③ 課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額
  • ④ 課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額

「最終価格」とは、その日の取引所での終値のことです。複数の取引所に上場されている場合は、原則として納税義務者が選択した取引所の価格を使用できます。

課税時期に取引がない場合

相続開始日(課税時期)が取引所の休業日(土日・祝日)に当たる場合や、その日の取引がない場合は、課税時期に最も近い前後の最終価格のうち低い方を使用します。

② 非上場株式の評価方法

非上場株式(取引所に上場されていない同族会社等の株式)の評価は、市場価格がないため、会社の規模や株主の立場に応じた2つの評価方式を使い分けます。

原則的評価方式(類似業種比準価額方式・純資産価額方式)

同族株主など経営支配力を持つ株主が取得した株式には原則的評価方式を適用します。会社の規模(大会社・中会社・小会社)によって、以下の方式を使い分けます。

  • 類似業種比準価額方式:類似する業種の上場会社の株価を基準に、評価会社の配当・利益・純資産を比較して評価する方式。大会社に適用。
  • 純資産価額方式:会社の資産・負債を相続税評価額で評価し直し、純資産額から求める方式。小会社に適用。
  • 折衷方式:類似業種比準価額方式と純資産価額方式を一定割合で組み合わせる方式。中会社に適用。

配当還元方式

同族株主以外の少数株主が取得した株式には配当還元方式を適用します。年間配当金額を10%で割り戻した金額が評価額となるシンプルな方式で、一般的に原則的評価方式より低い評価額になります。

計算式:評価額 = (年間配当金額 ÷ 10%)× (1株の資本金等の額 ÷ 50円)

③ 公社債(国債・社債など)の評価方法

利付公社債

定期的に利子が支払われる利付公社債の評価額は、以下の合計額です。

評価額 = 課税時期の最終価格(取引所価格または業者間価格)+ 既経過利子の額(源泉税控除後)

割引公社債

割引公社債(発行価格が額面より低い公社債)の評価額は、発行価格に課税時期までの割引額を加算した金額で評価します。

個人向け国債

個人向け国債の評価額は額面金額+経過利子相当額−中途換金調整額で計算します。換金手続き中の場合は実際の換金価格を評価額とします。

④ 投資信託・ETF・REITの評価方法

証券取引所に上場されている投資信託(ETF・REIT)

ETF(上場投資信託)やJ-REIT(不動産投資信託)など、取引所に上場されているものは上場株式と同じ方法(4価額の最低値)で評価します。

証券投資信託(非上場)

取引所に上場されていない証券投資信託(一般的な投資信託)の評価額は以下の通りです。

評価額 = 課税時期の1口当たりの基準価額 × 口数 − 解約手数料等(源泉税控除後の既経過分配金を加算)

具体的には、課税時期において解約した場合に受け取ることができる金額(解約請求により支払われる金額)が評価額となります。

MRF・MMF

MRF(マネーリザーブファンド)・MMF(マネーマーケットファンド)などは、課税時期に解約・買取請求した場合に支払われる金額で評価します。

評価時の注意点と節税ポイント

  • 上場株式は4つの価額の最低値を活用:相続開始日が月末に近い場合、前月・前々月の月平均の方が低くなるケースもあります。どの時期の株価が最も低いかを確認しましょう。
  • 非上場株式の評価は専門性が高い:純資産価額方式・類似業種比準価額方式の計算は複雑で、税理士への依頼が必須です。評価額を下げる合法的な対策(持株会社化・業績調整など)も専門家と相談しましょう。
  • 配当・利子の確定申告との整合性:評価に含まれる既経過利子・分配金は、所得税の申告とも整合性を取る必要があります。
  • 外国株式・外貨建て資産の換算:外国の金融商品は課税時期の為替レートで円換算します。

まとめ

有価証券の相続税評価は、その種類によって適用する評価方法が異なります。上場株式は4価額の最低値、非上場株式は会社規模と株主の立場、公社債は額面+経過利子、投資信託は解約時相当額が基本です。特に非上場株式は評価が複雑なため、早めに税理士に相談することをお勧めします。有価証券を含む相続税申告のご相談は、相続・事業承継ラボへお気軽にお問い合わせください。

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