相続した土地は売るべき? 売却のタイミングと税金・特例を解説
相続した土地を売却するかどうかは、多くの相続人が悩むポイントです。売るタイミングによって使える税制優遇が変わったり、税負担が大きく違ったりすることもあります。ここでは、相続した土地を売却するかどうかの判断材料と、売却のタイミング、使える税金の特例について解説します。
相続した土地は売るべき? 判断のポイント
その土地に住む予定がなく、有効に活用する見込みもない場合は、売却して現金化したほうが、固定資産税の負担や管理の手間を減らせます。一方、将来的に自分や家族が使う可能性がある、思い入れのある土地であるといった事情があれば、すぐに売却せず保有を続ける選択肢もあります。複数の相続人で共有している土地は、将来的な権利関係の複雑化を避けるためにも、早めに売却して分配したほうがトラブルを防ぎやすいケースが多く見られます。
売却のタイミングで税金が変わる
相続した土地を売却すると、売却益(譲渡所得)に対して譲渡所得税・住民税がかかります。この税率は、被相続人が土地を取得してからの所有期間によって「短期譲渡(5年以下)」と「長期譲渡(5年超)」に分かれ、長期譲渡のほうが税率が低く設定されています。相続の場合、被相続人が取得した時期をそのまま引き継ぐため、被相続人が長期間所有していた土地であれば、相続後すぐに売却しても長期譲渡の税率が適用されます。
相続税の申告期限内に売る場合の特例
相続税の申告期限の翌日から3年以内に土地を売却すると、「取得費加算の特例」を使うことができます。この特例は、支払った相続税額のうち、その土地に対応する部分を売却時の取得費に加算できるというもので、譲渡所得を圧縮し、譲渡所得税の負担を軽減できます。相続税を納めた方が、その後に不動産を売却する場合には、忘れずに検討したい特例です。
空き家の売却なら3,000万円特別控除も
相続した土地に被相続人が住んでいた家屋があり、一定の要件を満たして売却する場合は、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「相続空き家の特例」を使える可能性があります。昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることや、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することなど要件が細かく定められているため、対象になるかどうかは事前に確認しておく必要があります。
売却前に済ませておくべき手続き
- 遺産分割協議を終え、相続人を確定させる
- 相続登記(名義変更)を済ませる
- 境界確定や測量が必要な場合は早めに手配する
- 使える特例の要件と期限を確認する
よくある質問
Q. 取得費加算の特例と相続空き家の特例は両方使えますか?
いいえ、この2つの特例は選択適用であり、どちらか一方しか使えません。どちらが有利になるかは、相続税額や売却益の金額によって変わるため、両方の要件を満たす場合は、税理士に試算を依頼して比較することをおすすめします。
Q. 相続してすぐに売ると税金が高くなりますか?
譲渡所得税の税率は、被相続人が取得した時期から通算して判定されるため、相続直後の売却であっても、被相続人が長期間所有していた土地であれば長期譲渡の低い税率が適用されます。相続してすぐに売ったから税率が上がるということはありません。
Q. 売却するかどうか迷っている間、何をしておけばよいですか?
方針が決まっていなくても、相続登記だけは早めに済ませておきましょう。名義変更が完了していないと、いざ売却を決めたときにすぐ手続きを進められません。あわせて、使える特例には期限があるものが多いため、期限のカウントダウンも意識しておくと安心です。
まとめ
相続した土地を売却するかどうかは、活用予定や管理負担を踏まえて判断しますが、取得費加算の特例や相続空き家の特例には期限があるため、売却を検討する場合は早めに動くことが税負担を抑えるポイントになります。


