相続した実家を売却すると税金はいくら? 計算方法と使える特例を解説
相続した実家を売却すると、相続税とは別に譲渡所得税・住民税がかかります。「相続税を払ったのに、売却でもまた税金がかかるのか」と驚く方も少なくありません。ここでは、実家を売却したときにかかる税金の計算方法と、負担を軽減できる特例について具体例を交えて解説します。
実家の売却にかかる税金の仕組み
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出ると、その利益に対して譲渡所得税と住民税がかかります。譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で計算され、取得費が分からない古い実家の場合は、売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」を使うのが一般的です。取得費が低いほど譲渡所得は大きくなり、税負担も増える点に注意が必要です。
具体例で計算してみる
実家を3,000万円で売却し、取得費が分からず概算取得費(売却価格の5%=150万円)を使い、譲渡費用(仲介手数料など)が100万円だったケースで考えます。譲渡所得は3,000万円-(150万円+100万円)=2,750万円です。ここから後述する特例を使わない場合、長期譲渡所得の税率(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=合計約20.315%)を掛けると、税額はおよそ558万円になります。取得費が分かる場合や、特例が使える場合は、この金額から大きく変わってきます。
相続空き家の3,000万円特別控除
被相続人が一人で住んでいた家屋を、一定の要件を満たして売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。先ほどの例では譲渡所得2,750万円がこの特別控除の範囲内に収まるため、要件を満たせば譲渡所得税は0円になる可能性があります。主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始直前まで被相続人が一人で住んでいたこと、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却することなどです。
取得費加算の特例との選択
相続税を納めている場合は、相続税額のうち不動産に対応する部分を取得費に加算できる「取得費加算の特例」も選択肢になります。相続空き家の特例と取得費加算の特例はどちらか一方しか使えないため、納めた相続税額や譲渡所得の金額によって、どちらが有利かを比較する必要があります。
売却時の税金を抑えるためのポイント
- 取得費が分かる資料(購入時の契約書など)を探しておく
- 相続空き家の特例・取得費加算の特例の要件と期限を確認する
- 耐震基準を満たしていない古い家屋は、特例利用のため取り壊しや耐震改修が必要な場合がある
- 確定申告の期限(売却した翌年の2月16日〜3月15日ごろ)を忘れずに確認する
よくある質問
Q. 取得費が分かる書類が見つかりません。どうすればよいですか?
購入時の売買契約書や領収書が見つからない場合は、売却価格の5%を取得費とみなす概算取得費を使うことになります。ただし、通帳の記録や購入当時のパンフレットなど、取得費を推定できる資料が他にあれば、それをもとに取得費を主張できる場合もあるため、税理士に相談してみることをおすすめします。
Q. 相続空き家の特例は誰でも使えますか?
被相続人が一人で住んでいた家屋であることや、建築時期、売却期限など複数の要件があり、すべてを満たす必要があります。また、耐震基準を満たしていない古い家屋の場合は、取り壊して更地で売却するか、耐震改修を行うことが要件になっている点にも注意が必要です。
Q. 売却益が出なかった場合も確定申告は必要ですか?
譲渡所得がマイナス(損失)になった場合、原則として確定申告は不要です。ただし、特例の適用を受けて譲渡所得を0円にする場合は、特例を適用したことを税務署に示すために確定申告が必要になります。
まとめ
実家を売却すると譲渡所得税・住民税がかかりますが、相続空き家の3,000万円特別控除や取得費加算の特例を使えば、税負担を大きく抑えられる可能性があります。どちらの特例が有利かは状況によって異なるため、売却前に税理士へ相談し、シミュレーションしておくことをおすすめします。


