相続税における債権の評価方法|貸付金・未収金・売掛金の計算を解説

相続財産の中には、現金や不動産だけでなく、貸付金・未収家賃・売掛金などの債権が含まれることがあります。これらの債権も相続税の課税対象となりますが、その評価方法は債権の種類・回収可能性によって異なります。本記事では、相続税における債権の評価方法をわかりやすく解説します。

この記事でわかること

この記事でわかること
✅ 相続財産としての債権の種類
✅ 貸付金・受取手形・売掛金の評価方法
✅ 回収不能な債権の取り扱い
✅ 利子・利息の計上方法
✅ 債権評価の際の注意点

相続財産としての債権とは

債権とは、特定の人(債務者)に対して一定の行為(金銭の支払いなど)を請求できる権利のことです。相続財産に含まれる主な債権には以下のものがあります。

  • 貸付金:被相続人が家族・友人・取引先などに貸したお金
  • 売掛金:被相続人が個人事業を営んでいた場合の未回収の売上代金
  • 未収家賃:不動産を賃貸していた場合の未回収の賃料
  • 受取手形:事業上の取引で受け取った約束手形・為替手形
  • 未収利子・配当金:金融資産の未受領の利子・配当
  • 損害賠償請求権:被相続人が持っていた損害賠償を求める権利

債権の基本的な評価方法

元本(額面金額)による評価が原則

債権の相続税評価額は、原則として元本の価額+課税時期までの既経過利息で評価します(財産評価基本通達204)。つまり、貸付金100万円であれば、100万円+相続開始日までの未受領利息(源泉徴収後)が評価額となります。

貸付金・受取手形・売掛金の評価

貸付金・受取手形・売掛金はいずれも元本の額面金額に既経過利息を加算した金額で評価します。無利息の貸付金であれば元本金額のみが評価額となります。

未収家賃の評価

不動産の賃貸借契約に基づく未収家賃は、課税時期現在において収受すべき賃料の額(未払いとなっている賃料の合計)で評価します。

回収不能・回収困難な債権の取り扱い

債権が存在しても、債務者の資力や状況によっては回収が難しい場合があります。このような場合、評価額を減額できる場合があります(財産評価基本通達205)。

回収不能と認められる場合

以下のような事情がある場合、その債権の全部または一部が回収不能と認められ、評価額をゼロまたは減額することが認められます。

  • 債務者が破産・民事再生・会社更生などの法的手続き中である
  • 債務者が行方不明・連絡不通で長期間にわたり回収できていない
  • 債務者が債務超過の状態にあり、実質的に返済能力がない
  • 時効が完成している(民法上の消滅時効)

ただし、回収不能であることは相続人側が根拠をもって証明する必要があります。単に「返してもらえない」というだけでは不十分で、客観的な証拠(破産手続きの書類、債務者の財産状況の資料など)が求められます。

一部回収不能の場合

債権の一部のみ回収可能と見込まれる場合は、回収見込み額のみを評価額とします。例えば、100万円の貸付金のうち50万円しか回収できない見込みであれば、評価額は50万円となります。

家族間の貸借(親族間貸付金)の注意点

相続の場面で特に問題になりやすいのが、親族間の貸付金です。「親が子にお金を渡したが、贈与ではなく貸付だった」というケースでは、その貸付金が相続財産として計上されます。

一方、「実態は贈与だったのに贈与税を避けるため貸付にした」と税務署に認定されると、贈与税の課税対象となる可能性があります。親族間の金銭授受については、金銭消費貸借契約書の作成・利息の授受・返済実績など、貸付の実態を明確にしておくことが重要です。

債権評価のまとめと注意点

  • 債権はすべて財産目録に記載する:申告漏れは税務調査で指摘される可能性があります。被相続人の通帳・帳簿・契約書を精査しましょう。
  • 回収不能の証明は慎重に:根拠なく回収不能と判断することはできません。税理士と相談したうえで判断しましょう。
  • 時効の確認:貸付金等の消滅時効(民法上は原則5年・10年)が完成している場合は評価額ゼロとなります。
  • 親族間貸付は贈与認定リスクに注意:契約書・利息・返済記録を整備しておきましょう。

まとめ

相続税における債権の評価は、原則として元本+既経過利息ですが、回収不能な場合は減額が認められます。特に親族間の貸付金や長期未回収の債権については、専門家の判断が欠かせません。相続財産に債権が含まれる場合は、早めに税理士にご相談ください。相続・事業承継ラボでは、複雑な相続財産の評価についてもサポートいたします。

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