相続税の計算方法をわかりやすく解説|速算表・シミュレーション付き
「相続税っていくらかかるの?」「計算が複雑で自分では無理…」――相続税の計算方法がわからず不安を感じている方は多いはずです。しかし、基本的な計算の流れを理解するだけで、おおよその税額を把握できるようになります。
相続税は「財産の合計から基礎控除を引いた金額に税率をかける」という構造ですが、法定相続分・配偶者控除・小規模宅地の特例など、さまざまなルールが絡み合います。正しく計算しないと、払いすぎても払い足りなくても問題になります。
本記事では、相続税の計算方法をステップごとにわかりやすく解説します。計算シミュレーション例や早見表も掲載しているので、具体的なイメージがつかめます。
相続税の計算の流れ|6つのステップ
相続税の計算は、以下の6ステップで進みます。それぞれのポイントを確認しましょう。
相続税計算の6ステップ
STEP 1:相続財産の総額を把握する(プラスの財産+みなし相続財産)
STEP 2:非課税財産・債務・葬式費用を控除する
STEP 3:課税遺産総額から基礎控除を引く
STEP 4:法定相続分で按分して「仮の相続税額」を計算
STEP 5:相続税の総額を実際の取得割合で按分
STEP 6:各種税額控除(配偶者控除など)を適用する
STEP 1〜3:課税遺産総額の計算
STEP 1:相続財産の総額を把握する
まず「課税対象となる財産」の合計額を計算します。
- プラスの財産:預貯金・不動産・株式・ゴルフ会員権など
- みなし相続財産:生命保険金(非課税枠超過分)・死亡退職金(非課税枠超過分)
- 生前贈与加算:亡くなる前7年以内の贈与財産(相続時精算課税は全額)
生命保険金と死亡退職金にはそれぞれ「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があります。この枠を超えた分が課税対象になります。
STEP 2:非課税財産・債務・葬式費用を差し引く
以下を財産の合計から差し引きます。
| 差し引けるもの | 具体例 |
|---|---|
| 非課税財産 | 墓地・仏壇・神具、公益法人への寄付 |
| 債務 | 借入金・未払税金・未払医療費 |
| 葬式費用 | 葬儀費・火葬費・お布施(香典返し・法要費は除く) |
STEP 3:基礎控除を差し引いて課税遺産総額を求める
相続税には基礎控除があります。財産の合計額がこの基礎控除以下であれば、相続税はかかりません。
基礎控除の計算式
基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
STEP 4〜6:税額の計算と控除の適用
STEP 4:法定相続分で按分して相続税額を計算
課税遺産総額を法定相続分で按分し、各相続人の仮の取得額に税率をかけて「相続税の総額」を求めます。
| 法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | ― |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
STEP 5:実際の取得割合で按分する
STEP 4で計算した「相続税の総額」を、各相続人が実際に取得した財産の割合で按分します。遺産分割協議の結果に応じて各自の税額が確定します。
STEP 6:税額控除を適用して最終税額を確定
主な税額控除は以下のとおりです。
主な税額控除
配偶者の税額軽減:配偶者が相続した財産が「法定相続分」または「1億6,000万円」のいずれか大きい金額まで非課税
未成年者控除:相続人が未成年の場合、(18歳-相続時の年齢)× 10万円を控除
障害者控除:相続人が障害者の場合、(85歳 or 90歳 - 相続時の年齢)× 10万円または20万円
贈与税額控除:生前贈与加算した財産に課された贈与税を控除(二重課税防止)
具体的な計算シミュレーション
モデルケースで実際の計算をしてみましょう。
ケース:父が死亡、相続人は母・子2人の計3人
財産の内訳:自宅(評価額4,000万円)+預貯金(3,000万円)+生命保険(2,000万円)
STEP 1:生命保険の非課税枠 = 500万円 × 3人 = 1,500万円
課税対象の生命保険 = 2,000万円 − 1,500万円 = 500万円
財産合計 = 4,000万円 + 3,000万円 + 500万円 = 7,500万円
STEP 3:基礎控除 = 3,000万円 +(600万円 × 3人)= 4,800万円
課税遺産総額 = 7,500万円 − 4,800万円 = 2,700万円
STEP 4:法定相続分(母1/2、子各1/4)で按分
母の取得額 = 2,700万円 × 1/2 = 1,350万円 → 税率15%−50万円 = 152.5万円
子各自 = 2,700万円 × 1/4 = 675万円 → 税率10% = 67.5万円
相続税の総額 = 152.5万円 + 67.5万円 × 2 = 287.5万円
STEP 6:母が法定相続分(1/2)を取得した場合、配偶者控除で税額ゼロ
子2人の相続税 = 287.5万円 × 1/2 = 143.75万円(各71.875万円)
相続税がかかる財産の目安と早見表
「自分の家は相続税がかかるの?」という疑問に答える早見表です。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 | 相続税がかかる財産額 |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 3,600万円超 |
| 2人 | 4,200万円 | 4,200万円超 |
| 3人 | 4,800万円 | 4,800万円超 |
| 4人 | 5,400万円 | 5,400万円超 |
相続税を節税するための主な対策
相続税は、事前の対策次第で大幅に減らすことができます。代表的な節税策をご紹介します。
1. 生前贈与の活用
毎年110万円以下の贈与は贈与税がかかりません(暦年贈与)。早めに家族へ財産を移転することで、相続財産を減らせます。ただし、亡くなる前7年以内の贈与は相続財産に加算されます(2024年以降の贈与から)。
2. 小規模宅地等の特例
自宅の土地(330平方メートルまで)を配偶者または同居の子が相続した場合、土地の評価額を最大80%減額できます。例えば評価額5,000万円の土地が1,000万円の評価になります。
3. 生命保険の活用
生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を最大限に活用します。現金を生命保険に組み替えることで節税効果があります。
4. 不動産購入による節税
現金で不動産を購入すると、相続税の評価額が現金より大幅に低くなります(路線価は時価の約80%、賃貸用は更にディスカウント)。ただし、過度な節税は否認されるケースもあるため専門家への相談が必須です。
よくある質問(FAQ)
Q. 相続税の申告は全員が必要ですか?
A. 相続財産の合計額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)以下であれば、申告・納税は不要です。ただし、小規模宅地等の特例や配偶者控除を使って税額がゼロになる場合でも、申告自体は必要なので注意が必要です。
Q. 相続税の申告期限はいつですか?
A. 相続開始(亡くなった日)から10ヶ月以内が申告・納付の期限です。期限を過ぎると延滞税・加算税が課されます。
Q. 土地の評価額はどうやって計算しますか?
A. 土地の評価には「路線価方式」と「倍率方式」があります。路線価方式は国税庁が公表する路線価に面積をかけて計算。倍率方式は固定資産税評価額に一定の倍率をかけます。専門的な計算が必要なため、税理士への依頼をおすすめします。
Q. 相続税は現金一括払いができない場合どうすればよいですか?
A. 相続税は原則一括現金納付ですが、延納(分割払い)や物納(不動産などで納付)の制度があります。延納は最長20年の分割払いが可能ですが、延納税は利子税がかかります。
Q. 税理士に依頼したほうがいいですか?
A. 財産が多い・不動産がある・相続人関係が複雑・節税対策を取りたいケースでは、税理士への依頼を強くおすすめします。相続税の誤申告は税務調査や追徴税のリスクがあります。当事務所でも無料相談を承っています。
相続税の計算でお悩みですか?
「計算が複雑で自分では無理」「節税できるか確認したい」というお悩みは専門家にご相談ください。当事務所では、財産評価から相続税申告まで丁寧にサポートします。


