貸家建付地の相続税評価|計算方法・借地権割合・借家権割合をわかりやすく解説

アパートや賃貸マンションを建てて貸している土地(貸家建付地)は、自用地(更地)としての評価額より低く評価されます。これは、借家人の権利(借家権)によって土地の利用が制約されているためです。本記事では、貸家建付地の相続税評価の仕組み・計算方法・借地権割合・借家権割合・注意点をわかりやすく解説します。

この記事でわかること

この記事でわかること
✅ 貸家建付地とは何か・自用地との違い
✅ 貸家建付地の評価額の計算式
✅ 借地権割合・借家権割合の意味と調べ方
✅ 賃貸割合の考え方(空室がある場合の注意点)
✅ 貸家建付地評価を活用した相続税対策

貸家建付地とは

貸家建付地とは、土地の所有者が自ら建物を建て、その建物を第三者(借家人)に賃貸している場合の土地のことです(財産評価基本通達26)。

例えば、自分が所有する土地にアパートを建て、入居者に貸している場合、その土地が貸家建付地に該当します。借家人は建物に住む権利(借家権)を持っているため、土地所有者は自由にその土地を利用・売却できないという制約があります。この制約が評価減につながります。

貸宅地との違い

混同しやすいのが貸宅地です。貸宅地は「土地そのものを他人に貸して、借主が建物を建てている土地」(底地)のことで、貸家建付地とは異なります。貸宅地の場合は借地権が設定されており、評価額の計算方法も異なります。

貸家建付地の評価額の計算式

貸家建付地の相続税評価額は、以下の計算式で求めます(財産評価基本通達26)。

貸家建付地の評価額 = 自用地評価額 × (1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

自用地評価額とは

自用地評価額とは、その土地を更地(自分で自由に使える土地)として評価した場合の金額です。路線価地域では路線価×地積(各種補正率を適用)、倍率地域では固定資産税評価額×倍率で計算します。

借地権割合とは

借地権割合とは、その土地における借地権の価値の割合です。国税庁が公表する路線価図(財産評価基本通達付表)に、地域ごとにA〜Gの記号で示されており、それぞれ以下の割合に対応しています。

  • A:90% B:80% C:70% D:60% E:50% F:40% G:30%

都市部(東京都心など)ほど借地権割合が高く、地方ほど低くなる傾向があります。

借家権割合とは

借家権割合とは、建物の借家権(借家人が有する権利)の価値の割合です。全国一律で30%と定められています(財産評価基本通達94)。

賃貸割合とは

賃貸割合とは、その建物のうち実際に賃貸されている部分の割合です。

賃貸割合 = 課税時期に賃貸されている部分の床面積の合計 ÷ 建物全体の床面積の合計

例えば、10室のアパートのうち8室が入居中の場合、賃貸割合は80%(8/10)となります。空室が多いほど賃貸割合が下がり、評価減の効果が小さくなります。

計算例

自用地評価額:1億円、借地権割合:60%(D地区)、借家権割合:30%、賃貸割合:100%の場合

貸家建付地評価額 = 1億円 × (1 − 0.6 × 0.3 × 1.0)
= 1億円 × (1 − 0.18)
= 1億円 × 0.82
8,200万円

この例では、更地評価1億円に対し、1,800万円(18%)の評価減となります。

空室がある場合の注意点

空室の扱いについては、一時的な空室か継続的な空室かで取り扱いが異なります。課税時期に一時的に空室となっているに過ぎず、その後速やかに入居者を募集し賃貸する見込みがある場合には、その空室部分も賃貸されているとみなせる場合があります。ただし、相続後に長期間空室が続いている場合は賃貸と認められない可能性があります。

貸家建付地評価を活用した相続税対策

更地や自用地を保有しているより、賃貸物件を建てて貸家建付地にすることで相続税評価額を引き下げる効果があります。さらに、貸家建付地には小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)も重ねて適用できます(200㎡まで50%減額)。ただし、賃貸経営のリスク(空室・修繕費・借入金返済など)も踏まえたうえで慎重に検討することが重要です。

まとめ

貸家建付地の相続税評価は、自用地評価額から借地権割合・借家権割合・賃貸割合を掛け合わせた分を減額する仕組みです。適切に評価することで相続税の節税効果が期待できますが、空室の扱いや小規模宅地等の特例との組み合わせなど、判断が難しい点も多くあります。貸家建付地の評価や相続税対策については、専門家にご相談ください。相続・事業承継ラボでは、不動産の相続税評価に関するご相談を承っております。

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