相続対策の王道 ― 失敗しないための正しい順番
相続税対策と一口に言っても、生前贈与や生命保険、不動産の活用などさまざまな方法があります。しかし、やみくもに手を付けると効果が薄かったり、かえって家族間のトラブルを招いたりすることもあります。今回は、相続対策における「王道」ともいえる正しい進め方の順序をご紹介します。
ステップ1 現状把握 ― まずは財産の棚卸しから
相続対策の第一歩は、現在の財産を正確に把握し、相続税額を試算することです。相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があり、これを超えなければ原則として相続税はかかりません。まずは自分の財産が基礎控除内に収まるのかどうかを確認することが、対策の出発点になります。この土台を飛ばしていきなり保険や不動産を購入してしまうのが、よくある失敗パターンです。
ステップ2 非課税枠・特例の活用で評価額を圧縮する
現状を把握したら、次は既存の非課税枠や特例を最大限活用します。
- 生命保険の非課税枠:500万円×法定相続人の数まで非課税
- 小規模宅地等の特例:一定の要件を満たす自宅や事業用地について、評価額を最大80%減額できる制度
これらは新たに財産を動かさなくても活用できるため、優先度の高い対策といえます。
ステップ3 生前贈与による財産の移転
評価減の活用と並行して検討したいのが、生前贈与による財産移転です。
- 暦年贈与:年間110万円までの贈与には贈与税がかからない
- 相続時精算課税:年110万円の基礎控除が新設され、その範囲内であれば申告不要かつ相続財産に加算されない
なお、令和6年の税制改正により、相続開始前の贈与を相続財産に加算する期間が、従来の3年から7年に延長されました。生前贈与による対策は早く始めるほど有利になるため、思い立った時点でスタートすることが重要です。
相続対策は「現状把握 → 評価減の活用 → 生前贈与」という順番で土台から積み上げていくのが王道です。目先の節税効果だけにとらわれず、ご自身の状況に合わせた優先順位で進めることが、失敗しない相続対策の鍵となります。当ラボでは個々のご事情に応じた相続対策のご相談を承っております。


