教育資金一括贈与の非課税目的信託に残金がある場合|課税・返還・手続きを解説

教育資金一括贈与の非課税制度とは

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度(租税特別措置法70条の2の2)とは、祖父母や父母などの直系尊属が、30歳未満の子や孫に対して教育目的の資金を一括で贈与する場合、1,500万円(うち学校等以外の教育費は500万円)まで贈与税を非課税にする制度です。

この制度を利用するには、金融機関(信託銀行・銀行・証券会社など)に専用口座(教育資金管理口座)を開設し、その口座を通じて資金を管理・払い出すことが必要です。この口座契約は「教育資金管理契約」と呼ばれます。

しかし、この制度には「残金が残った場合の課税」という落とし穴があります。以下では、残金が生じるケースとその税務上の取り扱いを詳しく解説します。

残金が生じるケースとその税務上の取り扱い

教育資金管理契約が終了したにもかかわらず残金がある場合、原則として贈与税の課税対象となります。契約終了の主な理由は以下の通りです。

① 受贈者が30歳に達した場合

受贈者(もらった子・孫)が30歳に達した時点で教育資金管理契約は終了し、残額があれば、その残額に贈与税が課されます。ただし、30歳時点で学校等に在学中または教育訓練給付金の支給対象教育訓練を受講中の場合は、終了しません(最長40歳まで延長可能)。

② 受贈者が死亡した場合

受贈者が死亡した場合は、教育資金管理契約が終了し、残額は非課税となります(贈与税は課されません)。ただし、残額は受贈者の相続財産には含まれません。

③ 贈与者(祖父母・父母)が死亡した場合

贈与者が死亡した場合の取り扱いは、2019年度税制改正以降に変更されています。贈与者の死亡日に残額がある場合、その残額は受贈者が贈与者から相続等により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります(みなし相続財産)。ただし、以下の場合は相続税が課されません。

・受贈者が23歳未満の場合

・受贈者が学校等に在学している場合

・受贈者が教育訓練給付金の支給対象訓練を受講している場合

また、2021年4月以降の贈与者の死亡については、相続税の2割加算の対象となる場合があります(受贈者が孫などの場合)。

贈与者死亡後に残金を使い切れなかった場合

贈与者が死亡した後も教育資金管理契約は引き続き継続できます。ただし、贈与者の死亡以降に追加贈与はできません。残額については引き続き教育資金として使用することができ、契約終了時(受贈者が30歳に達した時など)に残額があれば贈与税の対象となります。

なお、贈与者が死亡した場合の相続税については、贈与者死亡日現在の残額に対して課税されます。その後に教育資金として払い出した金額については、課税対象から差し引かれる仕組みとなっています(精算の仕組み)。

残金に課される贈与税の計算

受贈者が30歳に達して契約終了となった場合など、残額に贈与税が課される場合、残額は「一般税率」が適用されます(受贈者が18歳以上で、贈与者が直系尊属の場合でも、この非課税制度の残額については一般税率が適用される点に注意が必要です)。

また、残額に対する贈与税は、残額が発生した年の贈与として取り扱われ、翌年3月15日までに贈与税の申告・納付が必要です。

教育資金として認められる費用の範囲

残金を教育資金として使い切るには、どのような費用が対象になるかを把握することが重要です。教育資金として認められる主な費用は以下の通りです。

学校等への支払い(非課税限度額1,500万円)として、入学金・授業料・入学試験の検定料・学用品の購入費・修学旅行費・学校給食費などが対象です。学校等とは、幼稚園・小中学校・高等学校・大学・大学院・専修学校・各種学校のほか、一定の外国の教育機関も含まれます。

学校等以外への支払い(非課税限度額500万円)として、学習塾・予備校・そろばん教室・スポーツ教室・文化芸術活動などの費用(一定の要件あり)、習い事の月謝などが対象です。

残金を減らすための対応策

契約終了前に残金がある場合、以下の方法で残金を教育資金として活用することが考えられます。

大学院への進学・留学費用として活用するのも一つの方法です。大学院の学費や留学費用は高額になるケースも多く、残金を効率よく使い切ることができます。また、学習塾・資格取得費用として、専門スクールや資格取得のための講座費用にも活用できます(ただし500万円の上限内)。さらに、未使用分については、将来的な教育費の見込みを立てた上で計画的に払い出すことが重要です。

申告・手続きの流れ

残金に対して贈与税が課される場合、以下の手続きが必要です。

まず、金融機関から契約終了の通知を受けた後、残額の確認を行います。次に、翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告書を税務署に提出します。その際、贈与税の計算は当該年の1月1日から12月31日までに受けた他の贈与と合算して行います。最後に、申告期限(3月15日)までに贈与税を納付します。

まとめ

教育資金一括贈与の非課税制度は、教育費を計画的に準備するための有効な制度ですが、残金が残った場合の課税関係は複雑です。特に、贈与者が死亡した場合の相続税課税(2019年以降の改正内容)については、見落としがちな点です。

制度を利用する際は、残金が生じないよう計画的に活用することが重要です。また、残金の課税関係や申告手続きについては、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

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