相続税を払うお金がない!? 鈴木家の「不動産売るか売らないか」大論争
※本記事は、相続で起こりやすいトラブルを分かりやすく解説するための架空事例です。実在の人物・団体・事案とは関係ありません。
「相続税、2,400万円です」──税理士の一言で、家族が固まった
鈴木家の三姉妹──長女・美智子(58歳)、次女・久子(54歳)、三女・幸子(50歳)──は、母の四十九日が終わり、税理士事務所を訪れた。
「相続税の概算が出ました。だいたい2,400万円ですね」
三姉妹、全員が同時に「え?」と声をあげた。
遺産は、自宅(評価額6,000万円)と預金が800万円。相続税を払う現金が、圧倒的に足りない。
三姉妹の主張、三者三様
この危機を前に、三姉妹の意見は見事に割れた。
| 姉妹 | 主張 | 本音 |
|---|---|---|
| 長女・美智子 | 「実家は売りたくない。思い出が詰まってる」 | 自分が住み続けたい |
| 次女・久子 | 「さっさと売って現金で分けよう」 | 住宅ローンを早く返したい |
| 三女・幸子 | 「もう少し考えてから決めましょう」 | どっちでもいい、でも揉めたくない |
話し合いは毎回、堂々巡り。気づけば申告期限(10ヶ月)が迫っていた。
「延納」「物納」という選択肢はないの?
実は、相続税には「今すぐ全額払えない」場合の救済制度があります。
💡 延納(分割払い)
相続税を最長20年にわたって分割払いできる制度。ただし利子税がかかります。また「現金で払えない」ことを証明する必要があり、審査があります。
💡 物納(不動産で払う)
現金の代わりに、不動産や株式で相続税を納める制度。延納でも払えない場合に限り認められます。売却せずに税を払えるメリットがありますが、審査が厳しく、物納できる財産の種類も限られます。
このトラブル、どう防げばよかった?
✅ 生前に「納税資金」を準備しておく
最もシンプルな対策は、生命保険の活用です。相続人を受取人にした生命保険に加入しておけば、保険金が「すぐに使える現金」として届きます。しかも「500万円×法定相続人の数」まで非課税です。
✅ 生前に不動産の評価を把握しておく
「うちの土地っていくらくらいになるの?」を生前に専門家に試算してもらうだけで、ざっくりの相続税額がわかります。「知らなかった」では済まないのが相続税です。
鈴木家のその後
最終的に、三姉妹は実家の一部(土地の半分)を売却して相続税を捻出。長女・美智子は建物に住み続けることになりました。全員が納得できたかと言えば……「まあ、しょうがないよね」というのが正直なところだったようです。
まとめ:相続税は「後から知る」と詰む
- 不動産が多い家は、相続税の「現金不足」が起きやすい
- 延納・物納という制度はあるが、条件が厳しい
- 生命保険を使った納税資金の準備が最も現実的
- 生前に相続税の試算をしておくことが最大の予防策


