家族信託と成年後見制度の違いとは?認知症対策・費用・選び方を徹底比較
「認知症になったら自分の財産が動かせなくなると聞いたが、どうすればいい?」「家族信託と成年後見制度はどう違うの?」――高齢社会を迎えた日本では、認知症による財産凍結が深刻な問題になっています。
2024年時点で、日本の認知症患者数は約700万人。65歳以上の約5人に1人が認知症になると言われています。対策をしないまま認知症になると、本人の銀行口座が凍結され、家族が自由に財産を使えなくなります。
本記事では、認知症対策として注目される「家族信託」と従来の「成年後見制度」の違い・メリット・デメリット・費用・選び方をわかりやすく解説します。
認知症になると財産が凍結される理由
銀行は、口座名義人が認知症(意思能力喪失)と判断すると、本人以外による預金の引き出しや不動産の売却を拒否します。家族であっても同様です。これを「財産凍結」と呼びます。
財産が凍結されると、介護費用の支払い・老人ホームの入居金の準備・実家の売却など、必要な手続きができなくなります。
成年後見制度とは
成年後見制度は、判断能力が低下した方の財産管理・法律行為を、裁判所が選んだ「後見人」が代わりに行う制度です(民法7条〜)。
📋 成年後見制度の特徴
・開始時期:認知症になってから申立て(法定後見)。または元気なうちに契約(任意後見)。
・後見人:家族が選ばれることもあるが、弁護士・司法書士などの専門家が選ばれることも多い。
・費用:申立て費用数万円。専門家後見人の場合は毎月2〜6万円の報酬が発生。
・制約:投資・贈与など「本人の利益にならない行為」は後見人にはできない。
成年後見制度のデメリット
- 一度始めると、本人が亡くなるまで(または回復するまで)続く
- 家族が後見人に選ばれない場合、毎月の報酬が家族の財産から出続ける
- 資産の積極的な活用(賃貸経営の拡大・資産組換えなど)が難しい
- 家庭裁判所への定期報告など手続きが煩雑
家族信託とは
家族信託(民事信託)は、元気なうちに信頼できる家族に財産の「管理・運用・処分」を託す仕組みです(信託法)。
例えば、父が元気なうちに息子との間で「信託契約」を結び、実家の不動産を息子が管理できるようにしておきます。父が認知症になっても、息子は契約に基づいて不動産の売却・賃貸管理ができます。
✅ 家族信託のメリット
・認知症になっても財産の管理・活用が継続できる
・受益者(利益を受け取る人)・受託者(管理する人)・信託終了後の受取人を自由に設計できる
・成年後見と違い、裁判所の監督を受けない(柔軟な運用が可能)
・後継ぎ遺贈(二代先・三代先まで誰に渡すかを決める)ができる
家族信託のデメリット・注意点
- 設計・契約書作成に専門家(弁護士・司法書士)への依頼が必要→費用が数十万円〜
- 不動産は信託登記が必要(登録免許税がかかる)
- 年金受給権・生命保険など信託できない財産がある
- 身上監護(介護施設の入居契約など本人に関する手続き)はできない→成年後見との併用が必要な場合も
家族信託 vs 成年後見制度:比較表
⚖️ どちらを選ぶべきか
・家族信託がおすすめ:元気なうちに対策したい。不動産を柔軟に管理したい。節税・二次相続対策も組み込みたい。
・成年後見がおすすめ:すでに認知症が進行している(家族信託は契約できない)。財産の規模が小さい。定期的な家庭裁判所のチェックで安心したい。
まとめ
認知症対策は、本人が元気なうちにしか準備できません。特に家族信託は、認知症になってから契約することはできないため、早めの対応が重要です。「まだ大丈夫」と思っているうちに行動することが、家族全員を守ることにつながります。専門家への無料相談をぜひご活用ください。


