無償返還の届け出とは|仕組み・提出方法・相続税への影響を解説

無償返還の届け出とは

「無償返還の届け出」とは、土地の貸借において、将来その土地を無償で返還することを約束する旨を税務署に届け出る手続きのことです(法人税基本通達13-1-14等)。土地の無償・低額の貸し借りを行う法人・個人の間で利用される重要な手続きで、相続税評価や法人税に大きな影響を与えます。

無償返還の届け出が必要になる場面

主に以下のようなケースで活用されます。

  • 個人(土地オーナー)が自分の同族会社(法人)に土地を無償または低額で貸している場合
  • 同族関係者間で土地を無償・低額で賃貸している場合

このような場合、通常であれば借地権が発生し、地主(個人)に「相当の地代」が支払われるべきです。しかし無償または低額の地代で土地を貸すと、借地権の認定課税(法人に借地権相当額が寄附されたとみなす)が問題となります。これを回避するために「無償返還の届け出」を提出します。

無償返還の届け出の仕組み

無償返還の届け出を提出することで、以下の効果が生まれます。

  • 借地権の認定課税が回避される(権利金・相当地代の支払いが不要になる)
  • 将来、法人が土地を無償で地主に返還することが前提となる

提出方法・提出先・提出時期

  • 提出先:土地所有者(個人)の所轄税務署と、法人の所轄税務署の両方
  • 提出時期:土地の賃貸借契約を締結した日の属する事業年度の確定申告期限まで
  • 様式:「土地の無償返還に関する届出書」(国税庁書式)
  • 添付書類:土地の賃貸借契約書の写し

相続税への影響

土地オーナー(個人)の相続税評価

無償返還の届け出を提出した土地は、自用地評価額の80%で評価されます(財産評価基本通達24-1)。通常の借地権がある土地(底地)と異なり、借地権割合分の評価減はありませんが、20%の評価減が認められます。

評価額 = 自用地評価額 × 80%

法人(借地人)側の評価

法人は将来無償で土地を返還する義務があるため、法人の財産として借地権は計上されません(0円評価)。

注意点

  • 届け出の提出を忘れると:借地権の認定課税が発生するリスクがある
  • 地代の設定:無償返還の届け出を提出していても、固定資産税相当額以上の地代を受け取ることが推奨される(ゼロ地代は問題が生じる場合あり)
  • 第三者への売却:届け出をした土地を第三者に売却する場合は別途税務上の取り扱いに注意が必要

まとめ

無償返還の届け出は、同族会社への土地貸し付けで借地権認定課税を回避するための重要な手続きです。届け出により土地の相続税評価額は自用地の80%となります。提出時期・地代設定・売却時の取り扱いなど専門的な判断が必要なため、必ず税理士にご相談ください。当ラボでは無料相談を承っております。

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