仮想通貨(暗号資産)を売却した時の税金は?現行制度と今後の改正動向を解説

ビットコインをはじめとする仮想通貨(暗号資産)は値動きが大きく、売却によってまとまった利益を得る人も少なくありません。しかし仮想通貨の税金の仕組みは株式や投資信託とは異なり、税負担が重くなりやすい点に注意が必要です。ここでは2026年8月時点における仮想通貨売却時の税金の考え方と、今後予定されている税制改正の動向について解説します。

仮想通貨の利益は「雑所得」として総合課税される

現行制度では、仮想通貨の売却などによって生じた利益は、原則として「雑所得」に区分され、給与所得や事業所得などほかの所得と合算した上で税率が決まる「総合課税」の対象となります。総合課税の所得税率は所得金額に応じて5%から45%までの超過累進税率が適用され、これに住民税10%が加わるため、所得が高い人ほど税負担は重くなり、最大でおよそ55%にのぼります。株式の譲渡益などに適用される申告分離課税(税率約20%)と比べると、同じ金額の利益であっても仮想通貨は税負担がかなり重くなる可能性がある点は押さえておく必要があります。

項目仮想通貨株式等(上場株式の譲渡益)
所得区分雑所得譲渡所得
課税方式総合課税申告分離課税
税率5%~45%+住民税10%(最大約55%)約20%(20.315%)
損益通算・繰越控除不可可能(同一区分内・繰越控除3年間)

課税のタイミングに注意

税金が発生するのは仮想通貨を日本円に換えて売却した時だけではありません。保有している仮想通貨を別の仮想通貨に交換した場合や、商品・サービスの決済に使った場合にも、その時点での時価と取得価額との差額が所得として認識されます。また、マイニングやステーキング、レンディングなどによって仮想通貨を取得した場合も、取得時点の時価が所得として課税対象になります。売買を伴わない取引でも課税関係が生じることがあるため、こまめな記録が欠かせません。

損益通算・繰越控除ができない点に注意

仮想通貨の利益は雑所得に区分されるため、株式投資やFXのように損失を翌年以降に繰り越して控除する「繰越控除」の制度はありません。また、給与所得など他の所得区分の黒字と、仮想通貨取引で生じた損失を相殺する「損益通算」も原則として認められていません。年をまたいで大きな含み損を抱えている場合でも、税務上その損失を将来の利益と相殺できない点は、株式投資などとの大きな違いといえます。

確定申告が必要になるケース

給与所得者の場合、仮想通貨取引を含む雑所得の年間合計額が20万円を超えると、原則として確定申告が必要になります。給与所得がない人や、事業所得がある人の場合はこの基準が異なるため、少額であっても申告の要否を確認しておくことが望ましいでしょう。申告を怠ると、後から税務調査で指摘を受け、加算税や延滞税といった追加の負担が生じる可能性があります。

今後の税制改正の動向

仮想通貨の税負担の重さについては以前から見直しを求める声があり、2026年3月に成立した税制改正関連法により、一定の要件を満たす「特定暗号資産」については、株式と同様に一律20%程度の申告分離課税に移行する方向性が示されました。ただし、この新しい課税方式の適用には金融商品取引法などの関連法令の改正が必要とされており、実際に新制度が適用されるのは2028年1月以降の取引からになる見通しです。本記事作成時点では、国内外を問わず現行の総合課税の仕組みがそのまま適用されるため、当面は現行制度を前提とした資金計画や納税準備を行っておく必要があります。

相続で仮想通貨を引き継ぐ場合の注意点

仮想通貨は相続財産としても扱われ、被相続人が保有していた仮想通貨は相続税の課税対象になります。評価額は原則として相続開始時点の取引所での時価によって算定されますが、取引所によっては残高証明の取得に時間がかかることもあるため、早めに保有状況を確認しておくことが大切です。また、相続によって取得した仮想通貨を将来売却した場合の取得価額は、被相続人の取得価額を引き継ぐことになるため、購入時の記録を保管しておくことも忘れないようにしましょう。

まとめ

仮想通貨の売却益は雑所得として総合課税の対象となり、株式などに比べて税負担が重くなりやすい制度になっています。2026年3月の法改正により将来的には20%程度の分離課税へ移行する見通しですが、実際の適用は2028年以降となる見込みで、現時点では現行制度を前提に申告・納税の準備を進める必要があります。相続で仮想通貨を引き継ぐ可能性がある方は、評価方法や取得価額の引き継ぎについても事前に確認しておくと安心です。

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