金のおりんを買えば相続税対策になる?「祭祀財産」の非課税ルールと注意点
「純金のおりん(仏具)を買っておけば相続税がかからない」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。仏壇・仏具が相続税の非課税財産であること自体は事実ですが、高額な金の仏具を使った節税には注意すべき点があります。ここでは、祭祀財産の非課税ルールと、金のおりんを使った対策のリスクを解説します。
仏具は原則として相続税がかからない
相続税法では、墓地や墓石、仏壇、位牌、おりんといった「祭具」やこれに準ずるものは、相続税の非課税財産とされています。日常的に礼拝の対象として使われるものにまで課税してしまうのは適切でない、という考え方にもとづく規定です。そのため、一般的な仏壇やおりんを相続しても、その評価額は相続税の課税対象には含まれません。
金のおりんが非課税になる理由
おりんは仏具の一種であり、通常の礼拝用として使われるものであれば、素材が金メッキや一定の金を含むものであっても、祭具として非課税財産の対象に含まれると考えられています。この非課税枠に着目し、「現金で持つより金の仏具に換えておけば相続税がかからない」という発想から、高額な純金製のおりんなどを購入する相続税対策が話題になることがあります。
高額な純金製でも非課税になる?
ここで注意したいのが、非課税とされるのはあくまで日常礼拝の用に供されている祭具に限られるという点です。相続税法では、骨とう的な価値がある品や、商品・投資の対象として所有されているものは、非課税財産の対象から除かれると整理されています。純金製で高額なおりんであっても、実質的に金の資産価値を保有する目的で購入されたと判断されれば、非課税財産ではなく通常の相続財産として扱われる可能性があります。
投資目的と判断された場合はどうなる?
税務署が、購入した金の仏具を投資目的の資産と判断した場合、非課税財産としては扱われず、金の時価をもとに相続財産に加算されて相続税が課税されます。結果として、当初期待していた節税効果が得られないだけでなく、申告漏れとして追徴課税の対象になるおそれもあります。金額が大きくなるほど、税務署に投資目的とみなされるリスクも高まると考えておいたほうがよいでしょう。
相続直前に購入しても大丈夫?
亡くなる直前に、それまで使っていなかった高額な金の仏具を新たに購入するようなケースは、日常的な礼拝の用に供する目的というより、相続税を減らすことを主目的とした行動だとみなされやすくなります。実際に日常生活の中で礼拝の対象として使われていた実態があるかどうかは、税務調査で重視されるポイントの一つです。
金の仏具を使った相続税対策のリスク
- 非課税財産として認められず、通常の相続財産として課税される可能性がある
- 税務調査で投資目的の資産購入とみなされ、追徴課税につながるおそれがある
- 換金する際に想定より目減りする、買い取り業者が見つかりにくいなど、資産としての流動性に課題がある
仏壇・墓地・墓石の取り扱い
仏壇や墓地、墓石についても、日常的に礼拝の対象として使われる一般的なものであれば非課税財産です。生前に墓地や墓石を購入しておくことは、法律で認められた一般的な非課税財産の取得方法であり、金の仏具のような「投資目的とみなされるリスク」は比較的小さいとされています。ただし、こちらも著しく高額で装飾的な要素が強いものについては、個別の判断が必要になる場合があります。
祭祀財産の承継者は誰になる?
仏壇や墓地、位牌といった祭祀財産は、通常の相続財産とは異なり遺産分割の対象にはなりません。民法上、祭祀財産は慣習に従って「祭祀を主宰すべき者」が承継するとされており、被相続人が遺言等で指定していればその人が、指定がなければ慣習や家庭裁判所の判断によって承継者が決まります。相続税の非課税財産であることと、誰が引き継ぐかという承継の問題は別の話である点も押さえておきましょう。
よくある質問
Q. いくらまでの金の仏具なら非課税と認められますか?
法律上、非課税となる金額の明確な上限は定められていません。ただし、社会通念上「日常礼拝の用に供する」範囲を超えると判断されるほど高額なものは、非課税財産と認められず通常の相続財産として課税される可能性が高くなります。金額だけでなく、実際に礼拝の対象として使われていた実態があるかどうかも重視されます。
Q. 骨董品としての価値がある仏像も非課税になりますか?
日常的に礼拝の対象として使われている仏像であれば非課税財産に含まれると考えられますが、実質的に美術品・骨董品としての資産価値を目的として所有しているとみなされる場合は、非課税財産とは認められないことがあります。購入時の経緯や実際の使用状況によって判断が分かれるため、高額なものについては税理士に確認しておくと安心です。
Q. 生前に仏具をローンで購入した場合、債務控除は使えますか?
仏具そのものが非課税財産であっても、その購入費用のローン残債は、原則として相続税の計算上、債務控除の対象にはなりません。非課税財産の取得に対応する債務は控除できないとされているため、ローンを組んで仏具を購入しても節税効果は期待できない点に注意が必要です。
まとめ
仏壇やおりんなどの祭具は、日常礼拝の用に供されるものであれば相続税の非課税財産です。しかし、高額な純金製の仏具を投資目的に近い形で購入すると、非課税財産として認められず、追徴課税のリスクを抱えることになりかねません。節税目的だけで高額な仏具を購入する前に、税理士に相談しておくことをおすすめします。


