【ケース③】後継者問題で会社が危機に。中小企業オーナーの事業承継失敗と成功の分岐点
「後継者がいない」「まだ早い」と先送りにしていた事業承継問題が、突然の病気や死亡で一気に顕在化するケースが増えています。今回は、対照的な2社の事例を通じて、事業承継準備の重要性を解説します。
事例A:準備していたケース(M&A成功)
【会社の概要(事例A)】
- 業種:製造業(金属加工)、従業員25名
- 売上:年商3億円、営業利益率8%
- 社長:68歳。子どもは2人いるが、いずれも会社に関心なし
- 自社株評価:約1億2,000万円
対策の経緯
社長は65歳のとき、税理士から「自社株の評価が高く、このままだと相続税が大変なことになる」と指摘を受けました。同時に、子どもへの承継が難しいことを認識し、M&Aによる第三者承継を選択。3年間かけて以下の準備を進めました。
【M&A成功までのステップ(事例A)】
| 時期 | 実施内容 |
|---|---|
| 65歳(3年前) | 税理士・M&Aアドバイザーに相談。自社株評価の試算、財務整理を開始 |
| 66歳(2年前) | M&A仲介会社と契約。企業概要書(IM)を作成し、買い手候補の探索開始 |
| 67歳(1年前) | 3社との交渉。うち1社と基本合意。デューデリジェンス実施 |
| 68歳(今年) | 最終契約締結。株式譲渡価格:1億5,000万円で売却成立 |
売却後、社長は引退。従業員の雇用も買い手企業が継続保証。社長の手取りは税引後で約1億円となり、老後の生活も安心できる資産を確保しました。
事例B:準備していなかったケース(廃業)
【会社の概要(事例B)】
- 業種:飲食業(地元チェーン3店舗)、従業員18名
- 売上:年商1.8億円
- 社長:72歳。後継者未定のまま急病で倒れる
- 自社株評価:非上場株式のため詳細不明(未試算)
何が起きたか?
社長が脳梗塞で入院し、意思決定ができない状態に。後継者も決まっておらず、自社株は社長名義のまま凍結。従業員は不安を抱えて離職が相次ぎ、半年後に3店舗すべてを閉店。
- 従業員18名が失業
- 社長の家族に残ったのは「評価額不明の非上場株式」と「実質無価値になった設備資産」のみ
- 取引先への未払いも発生し、信用問題に発展
2つの事例の分岐点
【事例AとBを分けた3つのポイント】
| ポイント | 事例A(成功) | 事例B(廃業) |
|---|---|---|
| 準備の開始時期 | ◎ 65歳から3年間かけて準備 | ✕ 未対策のまま急病 |
| 専門家への相談 | ◎ 税理士・M&Aアドバイザーと連携 | ✕ 相談せず自分だけで抱えていた |
| 自社株の把握 | ◎ 評価額を把握し対策済み | ✕ 未把握で相続発生時に問題化 |
事業承継の「タイムリミット」はいつか
M&Aによる第三者承継には最低でも2〜3年かかります。親族内承継(後継者育成)には5〜10年が必要です。「そのうちやろう」では間に合わないのが現実です。
【今すぐ相談すべき経営者のチェックリスト】
- ☑ 60歳以上で後継者が決まっていない
- ☑ 自社株の評価額を把握していない
- ☑ 事業承継税制(特例措置)の期限(2027年3月)が迫っている
- ☑ 会社の財務・法務の整理ができていない
- ☑ 万一のときの会社の運営者が決まっていない
まとめ
事業承継の成否を分けるのは「準備の有無」と「専門家との連携」です。元気なうちに動き出すことが、会社・従業員・家族全員を守る最善策です。
当ラボでは、事業承継・M&Aに精通した専門家が初回無料相談を行っています。「何から始めたらいいかわからない」という経営者の方は、ぜひご相談ください。


