事業承継M&Aの売却価格の決め方|企業価値評価の方法と価格交渉のポイント
「会社をM&Aで売りたいが、いくらで売れるか分からない」「企業価値はどうやって計算するの?」事業承継M&Aで最も気になるのが売却価格です。この記事では中小企業のM&Aにおける企業価値の評価方法と、売却価格交渉のポイントを解説します。
M&Aの売却価格(企業価値)の主な評価方法
3つの主な評価アプローチ
| 評価方法 | 概要 | 主な活用場面 |
|---|---|---|
| コストアプローチ(純資産法) | 会社の純資産額(資産−負債)を基準 | 資産保有型・解散価値の参考 |
| インカムアプローチ(DCF法) | 将来のキャッシュフローを現在価値に割引 | 成長企業・将来価値重視 |
| マーケットアプローチ(類似会社比較) | 同業他社の株価倍率(PER・EBITDAマルチプル)を参考 | 上場類似企業との比較 |
中小企業M&Aでよく使われる「EBITDAマルチプル法」
中小企業のM&Aでは実務上、EBITDAマルチプル法が広く使われています。
✅ EBITDAマルチプル法の計算
企業価値 = EBITDA × 業界マルチプル(倍率)
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費(税引前・金利前・減価償却前の利益)
【例】
- 営業利益:3,000万円、減価償却費:500万円
- EBITDA:3,500万円
- 業界マルチプル:4〜6倍(中小企業の一般的な範囲)
- 企業価値:1億4,000万円〜2億1,000万円
業界別マルチプルの目安
⚠️ 業界別EBITDAマルチプルの目安
| 業界 | マルチプル目安 |
|---|---|
| IT・SaaS・ソフトウェア | 8〜15倍 |
| 医療・介護 | 5〜8倍 |
| 製造業 | 4〜7倍 |
| 小売・飲食 | 3〜5倍 |
| 建設・不動産 | 3〜6倍 |
※あくまで目安。企業の収益安定性・成長性・属人性等によって大きく変動します
売却価格を上げる要因・下げる要因
バリュエーションに影響する主な要素
| 価格UP要因 | 価格DOWN要因 |
|---|---|
| ✅ 安定的な利益・高い利益率 | ⛔ 業績が不安定・赤字傾向 |
| ✅ 優良な顧客・取引先基盤 | ⛔ オーナーへの属人的依存 |
| ✅ 優秀な幹部社員・組織力 | ⛔ 財務諸表の不透明さ |
| ✅ 独自技術・特許・ブランド | ⛔ 在庫・設備の陳腐化 |
| ✅ 成長市場・シェア拡大中 | ⛔ 後継者・幹部人材不足 |
M&Aのプロセスと売却までの期間
- FA(財務アドバイザー)への相談:M&Aアドバイザーに依頼(1〜2ヶ月)
- 企業価値評価:バリュエーション・情報開示資料(IM)の作成(1〜2ヶ月)
- 買い手候補へのアプローチ:秘密保持契約(NDA)締結後に情報提供(2〜4ヶ月)
- LOI(意向表明書)の受領・交渉:価格・条件の交渉(1〜3ヶ月)
- デューデリジェンス(DD):買い手による詳細調査(1〜2ヶ月)
- 最終契約・クロージング:株式譲渡契約の締結・代金受領
全体で6ヶ月〜1年半程度が一般的です。
M&Aの売却価格は企業の状態・業界・タイミングによって大きく変わります。高い価格で売却するためには、売却前に会社の収益性・組織・財務の整備を行う「事前準備」が重要です。当ラボでは初回無料相談でM&A売却に向けた準備から価格交渉までサポートします。

