配偶者居住権とは?仕組み・評価額の計算・メリット・注意点をわかりやすく解説
「夫が亡くなって家は子どもに相続されたが、自分はいつまでも住み続けられるのか不安…」——配偶者が自宅に住み続ける権利を守るために2020年に新設されたのが配偶者居住権です。この制度を使えば、自宅を子どもに相続させつつ、配偶者が終身住み続けることができます。この記事では、配偶者居住権の仕組み・メリット・注意点を解説します。
配偶者居住権とは?
配偶者居住権とは、2020年4月1日施行の改正民法で新設された制度で、被相続人(夫・妻)の死後も、配偶者が自宅に終身または一定期間住み続けることができる権利です。
🏠 被相続人が亡くなると、自宅(土地・建物)を
→ 配偶者居住権(配偶者が取得・住む権利)
→ 所有権の負担付き部分(子が取得・将来所有者になる)
に分けて相続させることができます
✅ 配偶者は住み続けながら、他の財産(現金・預貯金等)も取得しやすくなる
✅ 子は将来(配偶者の死後)に自宅の完全な所有権を取得する
従来の問題点と配偶者居住権の解決策
| 状況 | 従来 | 配偶者居住権活用後 |
|---|---|---|
| 自宅(5,000万円)の扱い | 配偶者が全部取得すると遺産の大半を使ってしまう | 居住権(2,500万円)と所有権(2,500万円)に分割 |
| 配偶者が取得するもの | 自宅(5,000万円)のみ→現金ゼロ | 居住権(2,500万円)+現金(2,500万円) |
| 生活費の確保 | △ 現金が少なく生活が不安 | ◎ 現金も確保でき安心 |
配偶者居住権の評価額の計算
配偶者居住権の評価額は、建物・土地の評価額をもとに、配偶者の平均余命・法定利率を使った計算式で求めます。一般的に、配偶者が若いほど居住権の価値は高くなります。
建物の固定資産税評価額:1,000万円
配偶者の年齢:70歳(平均余命:約15年)
配偶者居住権の評価額 ≒ 建物評価額 × 一定割合(年齢・耐用年数等で変動)
(概算で、建物評価額の50〜70%程度になるケースが多い)
所有権の負担付き部分 = 建物評価額 − 居住権評価額
配偶者居住権の成立要件
✅ 被相続人(夫・妻)が所有していた建物であること
✅ 相続開始時に配偶者がその建物に居住していたこと
✅ 遺産分割協議・遺言・家庭裁判所の審判で定められること
✅ 被相続人と第三者の共有建物は対象外(配偶者との共有はOK)
注意点・デメリット
❌ 配偶者居住権は譲渡・売却できない(配偶者が死亡すると消滅)
❌ 配偶者が施設入居等で自宅を離れると消滅する場合がある
❌ 建物の修繕費用は配偶者が負担(通常の修繕)
❌ 子が自宅を売りたい場合は配偶者の同意が必要:売却できなくなる
❌ 相続税の申告では居住権・所有権それぞれを評価して申告:計算が複雑
⚠️ 二次相続(配偶者の相続)では所有権のみが残るため、相続税計算が有利になる場合も
まとめ
配偶者居住権は、高齢の配偶者が自宅に住み続けながら生活費となる現金も確保できる、画期的な制度です。二次相続まで見据えた相続設計において非常に有効ですが、評価計算の複雑さや制約もあるため、専門家のアドバイスのもとで活用することが大切です。
当ラボでは、配偶者居住権の活用シミュレーションから遺産分割・相続税申告まで、専門家が無料でご相談をお受けしています。

