事業承継税制(特例措置)とは?猶予・免除の条件と申請手順をわかりやすく解説
「自社株を後継者に渡したいが、多額の贈与税がかかると聞いた」「事業承継税制という制度があると知ったが、どこから始めればいいのか」——こうした悩みを抱える中小企業経営者は少なくありません。
本記事では、事業承継税制(特例措置)の概要・適用要件・申請手順・注意点を専門家監修のもとわかりやすく解説します。
事業承継税制とは?
事業承継税制とは、後継者が先代経営者から自社株式を引き継ぐ際の贈与税・相続税を猶予・免除する制度です。中小企業の円滑な事業承継を支援するために設けられています。
「一般措置」と「特例措置」の2種類があり、特例措置は2018年に創設された大幅に拡充された制度です。
一般措置と特例措置の違い
| 比較項目 | 一般措置 | 特例措置 |
|---|---|---|
| 猶予割合(贈与税) | 100% | 100% |
| 猶予割合(相続税) | 80% | 100% |
| 対象株数の上限 | 発行済株式の2/3まで | 全株式 |
| 後継者の人数 | 1人 | 最大3人 |
| 雇用確保要件 | 5年間平均8割維持が必要 | 要件緩和(未達成でも取消なし) |
| 特例承継計画の提出 | 不要 | 2027年3月31日までに必要 |
| 適用期限 | なし | 2027年12月31日までの承継 |
特例措置は一般措置と比べて適用要件が大幅に緩和されており、中小企業にとって非常に使いやすい制度です。ただし申請期限があるため、早めの準備が必要です。
特例措置の適用要件
会社の要件
- 中小企業基本法上の中小企業であること
- 上場会社・風俗営業会社でないこと
- 資産管理会社(いわゆる「持株会社」)でないこと(一定の例外あり)
先代経営者(贈与者・被相続人)の要件
- 会社の代表者であったこと
- 同族関係者と合わせて発行済株式の50%超を保有していたこと
- 同族内筆頭株主であったこと
後継者(受贈者・相続人)の要件
- 会社の代表者であること(贈与の場合は贈与後、相続の場合は相続後)
- 20歳以上(贈与の場合)
- 贈与・相続後に筆頭株主になること
- 同族関係者と合わせて50%超を保有すること
申請・手続きの流れ
| 手順 | 内容 | 期限 |
|---|---|---|
| ①特例承継計画の作成 | 認定支援機関(税理士・中小企業診断士等)の指導のもと計画書を作成 | 2027年3月31日まで |
| ②都道府県知事の認定申請 | 贈与・相続の翌年1月15日までに申請 | 承継後速やかに |
| ③税務署への申告 | 贈与税・相続税の申告書を期限内に提出し、猶予を申請 | 通常の申告期限内 |
| ④継続届出書の提出 | 猶予継続のため3年ごとに届出 | 継続的に |
猶予取消しになるケース(注意点)
以下の場合、猶予された税額が全額または一部取り消され、利子税とともに納付が必要になります。
- 後継者が代表者を退任した場合
- 対象株式を譲渡・売却した場合
- 会社が解散・清算した場合
- 継続届出書を期限内に提出しなかった場合
ただし、後継者が死亡した場合・次の後継者へのさらなる承継(免除)などの場合は、猶予税額が免除されます。
よくある質問(FAQ)
Q. 特例承継計画はいつまでに提出すればいいですか?
A. 2027年3月31日までに都道府県知事に提出する必要があります。計画書の作成には認定支援機関(税理士・公認会計士・中小企業診断士等)の指導が必要です。早めに専門家に相談することをおすすめします。
Q. 雇用確保要件(5年平均8割)が達成できなかった場合は?
A. 特例措置では、雇用要件を達成できなかった場合でも、認定支援機関が理由を確認・記載した書類を提出すれば、猶予が取り消されません。これが特例措置の大きなメリットのひとつです。
まとめ
- 事業承継税制(特例措置)は自社株の贈与税・相続税を最大100%猶予する強力な制度
- 一般措置より要件が緩和されており、中小企業に使いやすい
- 特例承継計画の提出期限(2027年3月31日)があるため早めの準備が必須
- 認定支援機関(税理士等)と連携して手続きを進めることが重要

