令和8年度税制改正大綱を解説|相続・贈与・事業承継に関わるポイントまとめ
毎年12月に与党が公表する税制改正大綱は、翌年度以降の税制の方向性を示す重要な指針です。令和8年度(2026年度)の税制改正大綱では、相続税・贈与税・資産課税・中小企業支援に関わる改正が盛り込まれています。本記事では、不動産オーナー・中小企業経営者・相続を控えた方に特に関係する改正ポイントをわかりやすく解説します。
税制改正大綱は「与党の方針」であり、国会審議を経て正式に法律となります。本記事は大綱公表時点の情報をもとに作成しており、最終的な法律の内容と異なる場合があります。実際の申告・対策については、必ず税理士等の専門家にご確認ください。
税制改正大綱とは?基本的な仕組み
税制改正大綱は毎年12月中旬に与党税制調査会が公表し、翌年1月に政府の「税制改正の大綱」として閣議決定されます。その後、3月末に国会で税制改正法案が成立し、翌4月1日から施行されるのが通常のスケジュールです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 12月中旬 | 与党税制改正大綱の公表 |
| 1月 | 政府・税制改正の大綱として閣議決定 |
| 2〜3月 | 国会に税制改正法案を提出・審議 |
| 3月末 | 法案成立・公布 |
| 4月1日〜 | 原則として施行(一部は翌年1月1日等) |
令和8年度税制改正の主な方向性
まず、令和8年度の税制改正大綱では、以下の分野で主要な改正が行われています。
① 相続税・贈与税関連の改正ポイント
暦年贈与の持ち戻し期間(令和6年改正の経過措置の確認)
なお、令和6年(2024年)1月1日から施行された相続前贈与の持ち戻し期間の延長(3年→7年)については、引き続き経過措置が適用されています。令和8年時点では以下の取り扱いとなります。
| 相続開始の時期 | 持ち戻し対象期間 |
|---|---|
| 〜令和8年12月31日 | 相続開始前3〜5年(経過措置により段階的に延長) |
| 令和9年1月1日〜令和12年12月31日 | 段階的に7年へ移行 |
| 令和13年1月1日〜 | 完全に7年間が持ち戻し対象(フル適用) |
※ 持ち戻し対象外の4年分(死亡前4〜7年)は、合計100万円を超える部分のみ加算
相続時精算課税制度の活用促進
また、令和6年改正で創設された相続時精算課税の年110万円基礎控除(持ち戻し不要)については、令和8年度においても継続して活用が推奨されています。高齢の親から子・孫への資産移転を早めることで、資産活用の効率化が図られています。
② 事業承継税制・中小企業関連の改正
特例事業承継税制の期限延長と要件の見直し
さらに、事業承継税制の特例措置(贈与税・相続税の100%猶予)については、特例承継計画の提出期限(2027年3月31日)・株式贈与の期限(2027年12月31日)は変更されていませんが、令和8年度大綱では手続きの簡素化や要件の一部緩和が検討・盛り込まれています。
- ✓ 特例承継計画の提出期限(2027年3月31日)は変更なし→今すぐ着手が必要
- ✓ 雇用確保要件の運用見直し(やむを得ない事情による要件緩和の継続)
- ✓ 個人事業者の事業承継税制(個人版)についても同様の方向性で検討継続
- ✓ 中小企業の設備投資・DX促進に関わる税制優遇措置の延長・拡充
③ 資産課税・不動産関連の改正
土地・建物の評価に関わる動向
一方、近年の不動産価格上昇を受け、相続税の土地評価(路線価・固定資産税評価額)の見直し議論が継続しています。特にマンションの相続税評価の適正化(令和6年改正で導入済み)の運用状況が確認されており、令和8年度は運用の定着が図られています。
空き家対策の税制措置
そのため、空き家の増加問題に対応するため、空き家の譲渡所得の特別控除(3,000万円・空き家特例)については令和8年度以降も継続。令和6年度改正で拡充された「相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円に縮小」のルールも継続適用となっています。
④ 所得税・個人課税に関わる主な改正
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 給与所得控除・基礎控除 | 103万円の壁の見直し(引き上げ方向での議論・段階的対応) |
| NISA制度 | 新NISA(令和6年〜)の定着。追加的拡充の議論継続 |
| 金融所得課税 | 上場株式の配当・譲渡益への課税の見直し方向性の検討継続 |
| 住宅ローン控除 | 省エネ住宅等への対応を踏まえた適用要件・控除限度額の継続・見直し |
相続・事業承継に関わる「今すぐ動くべき」ポイント
- ▲ 暦年贈与:令和13年以降は持ち戻し7年がフル適用→今年から始めることが最大のメリット
- ▲ 相続時精算課税:年110万円の基礎控除を毎年活用することで長期的な節税効果が得られる
- ▲ 事業承継税制:特例承継計画の提出は2027年3月末が期限→今すぐ税理士・認定支援機関に相談を
- ▲ 空き家:相続後3年以内の売却で特例が使えるが、要件(旧耐震・1億円以下等)を事前確認
まとめ
以上のとおり、令和8年度税制改正大綱は、令和6年改正の定着・継続を基本としながら、中小企業支援・資産課税の適正化・空き家対策の方向性を示しています。特に暦年贈与の持ち戻し延長の経過措置と事業承継税制の期限は、今すぐ対策を講じるべき重要事項です。
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