M&Aによる事業承継とは?中小企業の手順・費用・成功のポイントを解説
「後継者がいないが、廃業だけは避けたい」「会社を第三者に売却して、従業員と事業を守りたい」——こうした経営者の思いに応えるのが、M&Aによる事業承継(第三者承継)です。
本記事では、中小企業のM&A事業承継の手順・費用・メリット・デメリット・成功のポイントを専門家監修のもと解説します。
中小企業のM&Aが増えている背景
中小企業庁の調査では、中小企業経営者の約半数が後継者不在を理由に廃業を検討しているとされています。一方で、後継者不在による廃業は雇用・技術・地域経済の喪失につながります。
近年、政府もM&Aを「事業承継の重要な選択肢」として積極的に推進しており、中小企業でもM&Aによる承継が急速に広まっています。
中小企業M&Aの主なスキーム
| スキーム | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| 株式譲渡 | オーナーが保有する株式を買い手に売却 | 最も一般的。手続きが比較的シンプル |
| 事業譲渡 | 特定の事業・資産・負債を選択して売却 | 売りたい部分だけを切り出せる。負債を切り離せる |
| 合併 | 2社が合体して1つの会社になる | 規模の大きい再編に向く |
中小企業の事業承継M&Aでは、株式譲渡が最もよく使われます。
M&A事業承継の進め方・流れ
| フェーズ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| ①準備・相談 | M&A仲介会社・FAへの相談、会社概要書(IM)の作成 | 1〜3ヶ月 |
| ②買い手探し | 候補先へのアプローチ、秘密保持契約(NDA)の締結 | 3〜6ヶ月 |
| ③トップ面談 | 売り手・買い手の経営者が直接面談し、相互理解を深める | 1〜2ヶ月 |
| ④基本合意 | 譲渡価格・条件の概要を合意するLOI(意向表明書)締結 | 1ヶ月 |
| ⑤デューデリジェンス | 買い手が財務・法務・税務等を詳細調査 | 1〜2ヶ月 |
| ⑥最終契約・クロージング | 株式譲渡契約書の締結・株式・代金の受け渡し | 1ヶ月 |
全体で6ヶ月〜1年半程度かかるのが一般的です。
M&Aにかかる費用
- 仲介手数料:成功報酬型が一般的。譲渡金額の3〜5%程度(レーマン方式)
- デューデリジェンス費用:弁護士・会計士への報酬として数十〜数百万円
- 契約書作成費用:弁護士費用として数十万円程度
なお、事業承継・引継ぎ補助金を活用すれば、M&Aにかかる費用の一部を補助金で賄うことができます。
M&A成功のポイント
- ✅ 早めに動く:健康なうち・業績が良いうちに着手する(業績悪化後では買い手がつきにくい)
- ✅ 財務を整理する:BS・PLを正確に把握し、不要な資産・個人的な費用を整理しておく
- ✅ 従業員への配慮:M&A後の雇用条件・処遇について買い手との合意を取り付ける
- ✅ 信頼できる仲介会社を選ぶ:中小企業のM&Aに実績のある仲介会社・FAを選ぶことが成功の鍵
よくある質問(FAQ)
Q. 売却価格はどのように決まりますか?
A. 中小企業のM&Aでは主に「時価純資産+営業権(のれん)」で評価されます。営業権は年間利益×2〜5年分が目安です。業種・成長性・顧客基盤によって大きく変わります。
Q. M&Aの情報は秘密にできますか?
A. はい。M&Aのプロセスでは秘密保持契約(NDA)を締結した上で進めるため、従業員・取引先・競合他社に情報が漏れないよう管理されます。ただし、最終的には主要な関係者への説明が必要になります。
まとめ
- M&Aは後継者不在の中小企業にとって有力な事業承継の選択肢
- 株式譲渡が最も一般的なスキームで、全体で半年〜1年半かかる
- 業績が良いうち・健康なうちに早めに着手することが成功の鍵
- 信頼できる仲介会社の選定と、財務情報の整理が重要な準備


