令和8年度税制改正まとめ|相続・贈与・事業承継への影響と今すぐ対応すべきポイント
令和8年(2026年)度の税制改正大綱が令和7年12月に閣議決定され、相続・贈与・事業承継に関わる複数の制度に変更が加えられました。生前贈与加算の経過措置、教育資金・結婚子育て資金贈与の非課税措置の延長、事業承継税制の見直しなど、オーナー経営者・資産家にとって重要な改正が目白押しです。本記事では令和8年度改正のポイントを相続・事業承継の観点から整理・解説します。
令和8年度税制改正の全体像:相続・贈与・事業承継に関する主な変更点
| 改正項目 | 改正内容の概要 | 施行時期 |
|---|---|---|
| 生前贈与加算の経過措置 | 3年→7年延長の段階的移行が継続(2031年完全施行に向けた経過措置期間中) | 令和6年1月〜経過措置継続 |
| 教育資金の一括贈与非課税 | 適用期限を令和9年3月31日まで2年延長 | 令和8年4月1日〜 |
| 結婚・子育て資金の一括贈与非課税 | 適用期限を令和9年3月31日まで2年延長 | 令和8年4月1日〜 |
| 事業承継税制(特例措置) | 特例承認計画の申請期限(令和8年3月31日)を迎え、計画なしの新規申請は終了。既存計画は引き続き適用可 | 令和8年4月以降 |
| 小規模宅地等の特例 | 家なき子特例・貸付事業用宅地等の要件を一部見直し | 令和8年1月1日〜 |
| 相続時精算課税の運用明確化 | 令和6年改正の110万円基礎控除の適用明確化・申告書様式改定 | 令和8年分申告〜 |
①教育資金・結婚子育て資金の一括贈与非課税:2年延長の意味
教育資金の一括贈与(最大1,500万円非課税)と結婚・子育て資金の一括贈与(最大1,000万円非課税)は、令和8年3月31日が適用期限でしたが、令和9年3月31日まで2年延長されました。
ただし、これらの制度は過去に何度も延長を繰り返しており、今後の恒久化・廃止については不透明な状況です。「延長されているうちに活用する」という発想で、孫や子へのまとまった資産移転を検討している方は、この機会に専門家に相談することをお勧めします。
②事業承継税制の特例措置:令和8年3月申請期限の到来
事業承継税制の特例措置(非上場株式等の贈与・相続税の納税猶予)を利用するには、令和8年3月31日までに「特例承認計画(特例承継計画)」を都道府県に提出している必要がありました。
この申請期限が令和8年3月31日で終了したため、期限後の新規申請はできません。一方で、期限前に計画を提出済みの企業は、令和10年12月31日の贈与・相続税申告期限まで引き続き特例を活用できます。
| 区分 | 状況 |
|---|---|
| 特例承認計画を提出済み | 令和10年12月31日までの贈与・相続について特例措置を適用可 |
| 特例承認計画の未提出(令和8年4月以降) | 新規の特例措置申請は不可。一般措置(納税猶予率80%)は引き続き利用可能 |
③小規模宅地等の特例:家なき子特例の要件見直し
小規模宅地等の特例のうち、「特定居住用宅地等(家なき子特例)」の要件が一部見直されました。従来から議論されていた「形式的な要件を満たすだけの節税スキーム」の防止措置として、適用要件の厳格化が図られています。
主な変更点として、相続開始前3年以内に自己または配偶者等が所有する家屋に居住していないことという要件の判定基準が明確化されました。不動産を活用した家なき子スキームを検討している方は、改正後の要件を税理士に確認することが必須です。
④相続時精算課税の110万円基礎控除:申告書様式の改定
令和6年改正で新設された相続時精算課税の年110万円基礎控除について、令和8年分の贈与税申告から申告書の様式が改定され、基礎控除の適用を明示的に記載する欄が設けられました。
相続時精算課税を選択している方は、毎年の贈与税申告(基礎控除内でも申告書の提出が推奨される場合あり)の方法を税理士と確認しておきましょう。
令和8年改正で「今すぐやるべきこと」チェックリスト
- ✅ 事業承継税制の特例計画を提出済みか確認:未提出なら令和8年3月末で新規申請終了。提出済みの場合は次のアクション(贈与実行・申告)を確認
- ✅ 教育資金・結婚子育て資金贈与の活用を検討:延長されたが恒久化は不明。使えるうちに活用を
- ✅ 相続時精算課税の贈与税申告を確認:毎年の110万円控除を確実に受けるために申告書を適切に提出
- ✅ 小規模宅地特例(家なき子)の要件を再確認:改正後の要件で適用可能か税理士に確認
- ✅ 生前贈与加算の7年ルール経過措置を把握:何年前からの贈与が加算対象になるか確認して計画的に贈与を継続
まとめ:令和8年は「事業承継税制の節目の年」
令和8年度税制改正は、事業承継税制の特例措置申請期限の到来という大きな節目を含む改正です。特に後継者への株式移転を検討している中小企業オーナーにとっては、特例措置の期限内活用が重要な経営判断となります。個々の状況に応じた最適な対策は税理士・専門家とともに早急に検討しましょう。


