相続税シミュレーション|具体的な計算例で税額をわかりやすく解説【4パターン比較】

「自分の場合、相続税はいくらになるの?」「計算方法を知りたいが、複雑でよくわからない」――相続税の計算は複数のステップがあり、一見複雑に見えます。しかし基本的な計算の流れを理解すれば、自分のケースでおおよその税額を把握することができます

本記事では、相続税の計算方法を具体的な数字を使ったシミュレーション形式でわかりやすく解説します。よくある家族構成のパターンで実際に計算してみましょう。

相続税計算の基本ステップ(全5ステップ)

📋 相続税計算の流れ

STEP1:遺産総額を計算する

STEP2:課税遺産総額を計算する(遺産総額-基礎控除)

STEP3:法定相続分で仮按分して相続税の総額を計算する

STEP4:実際の取得割合で按分して各人の税額を確定する

STEP5:各種控除を適用して納付税額を確定する

シミュレーション①:最もシンプルなケース

家族構成:被相続人(父)、相続人:配偶者(母)・子ども2人(A・B)の計3人

遺産内容:自宅土地5,000万円・建物1,000万円・預貯金4,000万円・合計1億円

分割方法:配偶者が5,000万円、子どもA・Bがそれぞれ2,500万円

STEP1:遺産総額

1億円(土地5,000万+建物1,000万+預貯金4,000万)

STEP2:基礎控除と課税遺産総額

基礎控除:3,000万円+600万円×3人=4,800万円

課税遺産総額:1億円-4,800万円=5,200万円

STEP3:法定相続分で仮計算

・配偶者の法定相続分:5,200万円×1/2=2,600万円 → 税額:2,600万円×15%-50万円=340万円

・子どもA・B各自の法定相続分:5,200万円×1/4=1,300万円 → 税額:1,300万円×15%-50万円=145万円

相続税の総額:340万円+145万円×2=630万円

STEP4:実際の取得割合で按分

・配偶者:630万円×5,000万/1億=315万円

・子どもA:630万円×2,500万/1億=157.5万円

・子どもB:630万円×2,500万/1億=157.5万円

STEP5:配偶者控除の適用

配偶者の取得額5,000万円は1億6,000万円以下のため、配偶者の相続税:315万円→ゼロ

納付税額合計:315万円(子どもA・B合計)

シミュレーション②:小規模宅地等の特例を使った場合

シミュレーション①と同じ家族構成・遺産で、子どもAが自宅を取得して同居を続けるケース。

小規模宅地等の特例(特定居住用宅地)の適用

自宅土地5,000万円のうち330㎡まで80%減額が可能です(敷地全体が330㎡以内と仮定)。

自宅土地の評価額:5,000万円→5,000万円×(1-0.8)=1,000万円

遺産総額:1,000万円(土地)+1,000万円(建物)+4,000万円(預貯金)=6,000万円

課税遺産総額:6,000万円-4,800万円=1,200万円

相続税の総額(仮計算)

・配偶者:1,200万円×1/2=600万円 → 税額:600万円×10%=60万円

・子どもA・B各自:1,200万円×1/4=300万円 → 税額:300万円×10%=30万円

相続税の総額:60万円+30万円×2=120万円

配偶者控除適用後:配偶者分ゼロ

納付税額合計:60万円(子どもA・B合計)

💡 特例適用の効果

特例なし:315万円 → 特例あり:60万円

255万円の節税効果!

小規模宅地等の特例は、相続税対策において最も効果の高い特例の一つです。

シミュレーション③:遺産5億円・相続人2人のケース

家族構成:被相続人(父)、相続人:配偶者(母)・子ども1人の計2人

遺産内容:不動産3億円・有価証券1億円・預貯金1億円=合計5億円

分割方法:法定相続分(配偶者1/2・子ども1/2)で分割

基礎控除と課税遺産総額

基礎控除:3,000万円+600万円×2人=4,200万円

課税遺産総額:5億円-4,200万円=4億5,800万円

法定相続分で仮計算

・配偶者:4億5,800万円×1/2=2億2,900万円 → 税額:2億2,900万円×45%-2,700万円=7,605万円

・子ども:同上 → 7,605万円

相続税の総額:7,605万円×2=1億5,210万円

各人への按分(法定相続分通りの取得の場合)

・配偶者:7,605万円 → 配偶者控除適用(2億5,000万円取得のため法定相続分の1/2相当が控除)

配偶者控除額:法定相続分相当額(5億×1/2=2億5,000万円)まで控除

配偶者納付税額:7,605万円×(2億5,000万-2億5,000万)/2億5,000万=ゼロ

・子ども納付税額:7,605万円

シミュレーション④:一次・二次相続を通算した比較

遺産1億円・相続人:配偶者+子ども1人のケースで、配偶者の取得割合を変えた場合の税額比較です。

📊 一次・二次相続の税額比較

ケースA:配偶者が全額(1億円)相続

・一次相続税:ゼロ(配偶者控除)

・二次相続(配偶者の遺産1億円・相続人:子ども1人)税額:約1,220万円

合計:約1,220万円

ケースB:法定相続分(配偶者1/2・子ども1/2)で分割

・一次相続税:約385万円(子ども分)

・二次相続(配偶者の遺産5,000万円・相続人:子ども1人)税額:約320万円

合計:約705万円(ケースAより約515万円の節税)

相続税シミュレーションの注意点

  • 本記事の計算は概算であり、実際の税額は財産の種類・評価方法・各種特例の適否によって異なります
  • 不動産は路線価・固定資産税評価額をもとに計算しますが、形状・利用状況による補正が入ります
  • 生前贈与の持ち戻し・寄与分・特別受益なども考慮が必要です
  • 正確な税額の計算は、必ず相続税専門の税理士にご相談ください

まとめ

相続税の計算は複雑に見えますが、基本的なステップを理解すれば大まかな税額を把握できます。重要なのは、小規模宅地等の特例・配偶者控除・二次相続対策を適切に組み合わせることです。具体的な試算は専門の税理士にご依頼いただき、最適な節税プランを検討しましょう。

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