「とりあえず共有名義で」が招いた悲劇──中村家、誰も動けない土地問題

※本記事は、相続で起こりやすいトラブルを分かりやすく解説するための架空事例です。実在の人物・団体・事案とは関係ありません。

「とりあえず3人で共有にしておこう」──この一言が、20年後の地雷になった

20年前、中村家の三兄弟は父の遺産として土地(100坪・評価額2,400万円)を相続した。当時はみんな仲が良く、「売るにしても建てるにしても、また話し合おう」という軽い気持ちで3人の共有名義にした。

それから20年。

長男・裕一(68歳)は売却したい。でも次男・誠二(65歳)は「あの土地には思い出がある」と反対。三男・健三(62歳)は昨年亡くなり、その相続人は健三の妻と子2人——つまり共有者がいつのまにか5人になっていた。

共有名義のここが怖い

やりたいこと必要な同意中村家での現実
土地を売りたい共有者全員の同意誠二が反対 → 売れない
建物を建てたい共有者の過半数の同意5人中3人の賛成が必要
自分の持分だけ売る自分だけでOK第三者に売られると厄介

共有者の一人が死亡すると相続人に権利が移り、共有者がどんどん増えていく「共有の深み」にはまります。

解決策はあるの?

💡 共有物分割請求

共有者の一人は、裁判所に共有物分割請求を申し立てることができます。最終的には競売になる可能性もありますが、「このままでは動けない」状態を打破する手段です。

💡 相続発生時に「分割」を徹底する

そもそも「とりあえず共有」にしないことが最大の防止策。相続発生時に「誰か一人が単独取得し、他の相続人に代償金を払う」か「売却して現金を分ける」かを決めることが重要です。

中村家のその後

裕一が共有物分割請求を申し立て、調停へ。最終的には土地を売却して5人で分けることで決着しましたが、弁護士費用と調停期間(約1年半)という代償を払うことになりました。

「20年前にちゃんと決めておけばよかった」——全員の共通認識になりましたが、少し遅かった。

まとめ:「とりあえず共有」は「とりあえず爆弾」

  • 不動産の共有名義は「売れない・建てられない・増える」の三重苦
  • 相続のたびに共有者が増え、収拾がつかなくなる
  • 相続発生時に分割方法を決めるのが最善
  • どうしても共有にする場合は、持分売買・分割ルールを決めておく

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