「私が一番介護した!」長女・佐々木明子の正当な主張と、兄弟の冷たい反応

※本記事は、相続で起こりやすいトラブルを分かりやすく解説するための架空事例です。実在の人物・団体・事案とは関係ありません。

「私だけが介護を続けた5年間。それでも法定相続分は同じなの?」

佐々木明子(55歳)は、5年間、認知症の母の介護をほぼ一人で担ってきた。仕事を週3日に減らし、毎日母の家に通い、夜中の呼び出しにも対応した。

弟の健司(50歳)と妹の麻衣(46歳)は、たまに顔を出す程度。

そして母が亡くなり、いよいよ遺産分割の話し合いになった時、明子は言った。

「私は5年間介護してきた。法定相続分より多くもらうのは当然じゃないの?」

健司は眉をひそめた。「……それって、法律的に認められるの?

「寄与分」という制度がある

実は、明子の主張は法律的に認められる可能性があります。それが「寄与分」(民法904条の2)です。

被相続人の療養看護に努めた相続人は、その貢献に応じて法定相続分より多く遺産を取得できる制度です。

ただし、認められるには条件がある

  • 「特別の寄与」であること(通常の親族間の扶養義務を超えた貢献)
  • 財産の維持・増加に貢献していること
  • 他の相続人との協議か、家庭裁判所での審判が必要

「介護した」だけでは自動的に増えません。記録・証拠が重要です。

明子が準備すべき証拠

証拠の種類具体例
介護の記録日々の介護日誌、訪問記録
支出の証明介護用品・医療費の領収書
仕事への影響給与明細・雇用形態の変化の記録
第三者の証言ヘルパー・ケアマネの証言

この問題、生前にできる対策は?

一番シンプルな解決策は、母が元気なうちに遺言書を書いておくこと。「明子には○○○万円を多く相続させる」と明記すれば、死後の揉め事を防げます。

佐々木家のその後

明子が5年分の介護日誌と医療費の領収書を持参した結果、家庭裁判所の調停で「寄与分300万円」が認められました。兄弟との関係は「必要な時だけ連絡する」になったそうです。

まとめ:介護した人が報われる制度は「使わないと意味がない」

  • 介護の貢献は「寄与分」として法的に認められる可能性がある
  • ただし自動的には認められず、証拠と手続きが必要
  • 最大の予防策は、被相続人本人が遺言書で感謝を形にすること

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