「株は次男に渡す」父の決断に、長男・木村大輔が納得しない理由

※本記事は、相続で起こりやすいトラブルを分かりやすく解説するための架空事例です。実在の人物・団体・事案とは関係ありません。

「俺は20年間、会社のために働いてきた。なのになぜ弟が後継者なんだ」

木村製作所(従業員30名、年商8億円)の創業者・木村利雄(72歳)には、二人の息子がいる。

長男・大輔(46歳)は20年間、会社の営業部門を支えてきた。次男・健二(41歳)は10年前に入社し、製造部門を立て直した実績がある。

利雄が出した結論は「会社の株式は健二に集中させる」。

大輔は、この決定を受け入れられなかった。

「20年間の俺の貢献は? なんで後から入ってきた健二が後継者なんだ?」

事業承継で株式を集中させる理由

利雄の判断は、経営的には正しい。会社の株式が分散すると、経営の重要決定(定款変更・合併など)に支障が出ます。

持株比率できること
50%超普通決議(役員選任・利益配当)
2/3以上特別決議(定款変更・合併承認など重要事項)
100%全ての経営判断を単独で実施可能

健二に株式を集中させないと、大輔が「モノ言う株主」になり、会社の意思決定が停滞するリスクがあります。

大輔の怒りを解消する方法はあるか?

✅ 対策①:代償としての財産を用意する

株式を健二に集中させる代わりに、大輔には不動産や現金・生命保険金を多めに渡すことで、全体的な公平感を確保します。

✅ 対策②:「除外合意」を活用する

中小企業経営承継円滑化法に基づく民法特例(除外合意)を使えば、健二が株式を取得した場合に大輔が遺留分を主張できなくなります。ただし全相続人の合意と家庭裁判所の許可が必要です。

✅ 対策③:利雄が生前に「なぜ健二なのか」を説明する

法的な手当てと同時に、父・利雄が「なぜ健二を後継者にしたのか」を大輔に直接、誠実に伝えることが不可欠です。「遺言書の付言事項」に書くだけでなく、生前に家族会議を開くことを強く推奨します。

木村家のその後

利雄が生命保険と不動産を大輔に残し、遺留分に配慮した遺言書を作成。さらに家族会議で「大輔の20年間の貢献は会社の厚い退職金で報いる」と決定。大輔は不満を抱えつつも、最終的には会社に残ることを選びました。

まとめ:事業承継は「感情と法律と経営」の三角形

  • 株式集中は経営のために必要だが、他の相続人の感情・遺留分への配慮が必須
  • 民法特例(除外合意)で遺留分を排除する選択肢がある
  • 代償財産の準備と、父からの「なぜ?」の説明が最大のトラブル防止策

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