父の預金を兄が引き出してた!? 山本家に漂う「疑心暗鬼」の霧
※本記事は、相続で起こりやすいトラブルを分かりやすく解説するための架空事例です。実在の人物・団体・事案とは関係ありません。
「あれ……通帳の残高、少なくない?」
山本家の次女・さやか(45歳)が父の通帳を整理していると、ある違和感に気づいた。
父が入院していた2年間、毎月10〜30万円のATM引き出しが記録されている。父はほぼ寝たきりだったのに……。
「…お兄ちゃん、これ知ってる?」
長男・たかし(49歳)は、少し間を置いてから答えた。
「ああ、介護費用とか生活費に使ってたよ。俺が頼まれてたから」
さやかの顔が、みるみる険しくなった。
「……領収書は?」
領収書なし。記録なし。信頼も、なくなった
たかしには悪意はなかった(おそらく)。父に頼まれ、介護用品や通院費に使っていたのだろう。でも領収書も記録も残っておらず、2年間で計約400万円がどこへ消えたか証明できなかった。
さやかは、法律上の手段に訴えることも検討し始めた。
法律的には何が問題なの?
⚖️「使途不明金」と「不当利得・不法行為」
相続人の一人が被相続人の財産を無断・不正に引き出した場合、それは不当利得または不法行為として返還請求できる可能性があります。ただし「本人から頼まれた」「介護費用に使った」場合は、正当な支出として認められることもあります。
問題は「証明できるかどうか」です。
このトラブルを防ぐには?
- ✅ 介護にかかる費用は必ず領収書を保管する
- ✅ ATM引き出しは記録に残り、金額・日時・場所が特定できる
- ✅ 大きな金額は家族全員に事前に共有する
- ✅ 親が元気なうちに任意後見制度や家族信託を活用して、財産管理を透明化する
山本家のその後
たかしが保管していた一部の領収書と介護記録で、約250万円は正当な支出と認められた。残りの150万円は「使途不明」として、遺産分割の際にたかしの取り分から差し引かれることになった。
兄妹の関係は……「LINEは既読スルーするようになった」とのこと。
まとめ:お金の管理は「見える化」が最大の防御
- 親の介護費用は必ず記録・領収書を保管する
- 疑われないための「透明性」が家族の信頼を守る
- 任意後見・家族信託で財産管理を制度化するのが最善


