土地収用の税務特例|5,000万円控除と代替資産取得による課税繰延を解説
「道路工事や区画整理で土地が収用されることになったが、税金はどうなる?」「補償金を受け取ったら確定申告が必要?」公共事業による土地収用や買取りに伴って受け取る補償金は、通常の売却と異なる有利な税制が適用されます。この記事では、収用に伴う税務上の特例とその活用方法を解説します。
土地収用とは
土地収用とは、道路・鉄道・公園などの公共事業のために、国や地方自治体が土地所有者の意思に関わらず土地を取得する制度です。土地収用では土地代金の代わりに補償金が支払われます。
収用に伴う税務上の2つの選択肢
収用時の税務上の選択肢
| 選択肢 | 内容 | 適した状況 |
|---|---|---|
| ①5,000万円特別控除 | 譲渡所得から最大5,000万円を控除 | 代替資産を取得しない場合 |
| ②代替資産の取得による課税の繰延 | 補償金で代替資産を取得すれば課税が繰り延べ(圧縮記帳) | 引き続き不動産を保有したい場合 |
①5,000万円特別控除の詳細
収用等による譲渡の場合、譲渡所得から5,000万円を特別控除できます。これは居住用財産の3,000万円特別控除よりも大きい控除で、収用への対応措置として設けられています。
✅ 5,000万円控除の計算例
- 補償金(売却価額):8,000万円
- 取得費(相続・購入時の価格):2,000万円
- 譲渡費用:100万円
- 譲渡所得(控除前):8,000万円 − 2,000万円 − 100万円 = 5,900万円
- 特別控除:5,000万円
- 課税対象:5,900万円 − 5,000万円 = 900万円
②代替資産取得による課税の繰延(圧縮記帳)
収用等の補償金で代替の土地・建物等を取得した場合、圧縮記帳により課税が将来に繰り延べられます。代替資産の取得価額を圧縮することで、今期の課税所得を減らす仕組みです。
⚠️ 代替資産取得の要件
- 収用等の日から2年以内に代替資産を取得すること
- 代替資産は収用された資産と同一種類・同一用途のものが原則
- 補償金全額で代替資産を取得した場合は課税繰延(全額圧縮)
- 補償金の一部のみで取得した場合は按分計算で一部課税
どちらを選ぶべきか
選択の考え方
| 状況 | 推奨 |
|---|---|
| 補償金で新たな不動産を購入する予定がある | ② 代替資産(課税繰延) |
| 補償金を現金で手元に残したい | ① 5,000万円控除 |
| 譲渡益が5,000万円以下 | ① 5,000万円控除(税額ゼロの可能性あり) |
| 高齢で将来の売却を考えていない | ② 代替資産(繰延のまま終わる可能性) |
相続した土地が収用された場合の注意点
- 取得費の引き継ぎ:相続した土地の取得費は被相続人が取得した時の価格を引き継ぐ
- 取得費加算の特例:相続税を支払っている場合、相続税の一部を取得費に加算できる特例も活用可能
- 相続登記の重要性:収用手続きでは名義が問題になることがあるため、相続登記を先に済ませておくことが重要
⛔ 注意:同一年に他の特例との重複適用に制限あり
収用の5,000万円控除と居住用財産の3,000万円控除を同一年に重複して適用することはできません。どちらか一方を選択する必要があります。
土地収用は突然訪れることが多く、補償金の受け取り後に対応を誤ると多額の税金が発生します。収用通知が来たら早めに税理士へご相談ください。当ラボでは初回無料相談を承っております。


