相続税の基礎控除とは?申告が必要なケースと計算方法を解説

「相続税はどのくらいの財産があったらかかるの?」「申告しなくてよいケースはある?」こうしたご質問をよくいただきます。相続税には「基礎控除」という非課税枠があり、遺産の総額がこれを下回る場合は相続税がかかりません。本記事では、相続税の基礎控除の仕組みと計算方法、申告が必要なケース・不要なケースについて詳しく解説します。

相続税の基礎控除とは

相続税の基礎控除とは、相続税の課税対象となる遺産総額から一定額を差し引くことができる非課税枠のことです。遺産の総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税は発生せず、申告も不要です。

基礎控除額の計算式

基礎控除額は以下の計算式で求められます。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合、基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円」となります。遺産総額が4,800万円以下であれば相続税は発生しません。

法定相続人の数え方

法定相続人は民法の規定によって決まります。相続放棄をした方がいる場合でも、相続税計算上の基礎控除では「放棄がなかったものとした場合の相続人の数」を使います。また、養子については、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までを法定相続人に含めることができます(税法上の制限)。

相続税の課税対象となる財産

課税価格(遺産総額)の計算には、以下の財産が含まれます。

  • 本来の相続財産:不動産・預貯金・有価証券・現金・貴金属・美術品など
  • みなし相続財産:死亡保険金・死亡退職金(非課税枠を超えた部分)
  • 生前贈与加算:相続開始前7年以内に被相続人から受けた贈与財産(2024年以降の贈与より7年に延長)

一方、葬儀費用・墓地や仏壇など非課税財産・借入金などの債務は遺産総額から差し引くことができます。

死亡保険金・死亡退職金の非課税枠

死亡保険金や死亡退職金には、それぞれ「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があります。たとえば法定相続人が3人の場合、死亡保険金は1,500万円まで非課税となります。この非課税枠を活用することで、相続税の節税につながります。

相続税の申告が必要なケース

課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告・納税が必要です。相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った翌日から10か月以内です。

なお、課税価格が基礎控除を超えている場合でも、各種控除(配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例など)を適用することで税額がゼロになる場合があります。ただし、こうした特例を適用するには、たとえ税額がゼロになっても申告書を提出する必要があります。

配偶者の税額軽減

配偶者が相続した財産のうち、「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。これを「配偶者の税額軽減」といいます。配偶者が多くの財産を相続する場合には非常に有利な制度ですが、二次相続(配偶者が亡くなったときの相続)への影響も考慮して活用することが重要です。

小規模宅地等の特例

被相続人が居住用に使っていた宅地(自宅)などを相続した場合、一定の要件を満たすと土地の評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」があります。自宅の土地を相続する場合は特に効果が大きく、課税価格を大幅に圧縮できます。

相続税の税率と速算表

相続税は累進税率が適用されます。法定相続分に応じた取得金額に対して、以下の税率が適用されます(速算表)。

  • 1,000万円以下:10%
  • 3,000万円以下:15%(控除額50万円)
  • 5,000万円以下:20%(控除額200万円)
  • 1億円以下:30%(控除額700万円)
  • 2億円以下:40%(控除額1,700万円)
  • 3億円以下:45%(控除額2,700万円)
  • 6億円以下:50%(控除額4,200万円)
  • 6億円超:55%(控除額7,200万円)

まとめ

相続税の基礎控除は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算されます。遺産総額がこれを超える場合には申告・納税が必要となりますが、各種控除・特例を適用することで税負担を大幅に抑えられる場合があります。相続税の計算は複雑なため、財産の評価方法・特例の適用要件なども含めて、早めに税理士へご相談いただくことをおすすめします。当事務所では、相続税申告のご相談を随時お受けしております。

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