【ケース②】独居の高齢母が認知症に。子3人が直面した相続準備の教訓

「親が認知症になったら、どうなるのか?」今回は、独居の高齢母が認知症と診断され、預金が凍結されて子ども3人が困ったケーススタディを紹介します。対策をしていた場合・していなかった場合の差が明確に出た事例です。

事例の概要

【登場人物と状況】

関係者 状況
母(82歳) 3年前から独居。自宅(評価額2,500万円)、預金2,000万円、株式500万円を保有
長女(56歳) 近所に在住。主に母の世話をしている
長男(54歳) 遠方在住。年に数回帰省
次女(50歳) 海外在住。連絡は取れるが帰国が難しい

何が起きたか?(対策なし版)

母が軽度認知症と診断された後、銀行が「本人確認が取れない」として預金の引き出しを制限。老人ホームの入居費用(月30万円)が必要なのに、母の口座から引き出せない事態になりました。

【財産凍結が引き起こした問題】

  • ▲ 老人ホームの入居一時金500万円が払えない
  • ▲ 長女が立替払いを続け、家計を圧迫
  • ▲ 成年後見制度の申立てに3〜6ヶ月かかり、その間も資金が使えない
  • ▲ 後見人が選任されてからも、裁判所への定期報告・財産管理の制約が重い
  • ▲ 長男・次女との間で「誰が費用を出すか」の確執が生まれた

家族信託で防げた場合(対策あり版)

もし母が元気なうちに長女を受託者とした家族信託を設定していた場合、状況はまったく異なりました。

【家族信託があれば(比較)】

項目 対策なし 家族信託あり
老人ホーム費用 引き出し不可、長女が立替 ✓ 受託者(長女)が管理口座から即時支払い
不動産の売却 成年後見人の許可が必要 ✓ 信託契約に含めれば受託者が売却可能
株式の管理 凍結・運用不可 ✓ 信託財産として継続管理
コスト 後見人報酬:月2〜6万円(継続) ✓ 設定時のみ(数十万円)、継続コスト低

その後の相続への影響

成年後見制度を使った場合、被後見人(母)が亡くなるまで後見が続きます。相続発生後は通常の遺産分割協議が必要ですが、遺言書がなかったため長男・長女・次女の3人で協議が必要に。次女が海外在住のため書類のやり取りに手間がかかり、相続完了まで1年以上かかりました。

【この事例で生じたコスト(対策なし)】

  • 成年後見申立て費用:約20万円
  • 後見人報酬(3年間):約180万円(月5万円×36ヶ月)
  • 相続完了までの追加費用:約30万円
  • 合計:約230万円超(家族信託の設定費用の3〜5倍以上)

この事例から学べること

  • 認知症は「突然」来る→元気なうちの対策が絶対条件
  • 家族信託は70代前半での設定が理想→判断能力があることが設定の前提
  • 遠方・海外に相続人がいる場合は、特に事前の対策(遺言書+家族信託)が重要
  • 成年後見制度は最後の手段→利便性より法的保護重視の制度のため制約が多い

まとめ

「親が元気なうちに相談する」のが、家族全員の負担を最小化する最善策です。認知症対策・相続対策は同時に考えるべき問題であり、家族信託+遺言書の組み合わせが最も効果的です。

当ラボでは、家族信託・認知症対策・相続に精通した専門家が初回無料相談を行っています。「うちの親は大丈夫?」と思ったら、早めにご相談ください。

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