相続税が払えない!延納・物納の仕組みと手続き・注意点を徹底解説
「不動産を相続したが現金がない。相続税をどうやって払えばいいの?」これは相続でよく直面する切実な問題です。相続税には現金一括納付が原則ですが、それが難しい場合の制度として延納と物納があります。
相続税の納付の原則と期限
相続税の申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。原則として金銭による一括納付が必要ですが、条件を満たせば延納・物納が認められます。
【納付方法の3種類と優先順位】
| 優先順位 | 方法 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 優先 | 金銭一括納付 | 現金で一括納付(原則・最優先) |
| ② 次善 | 延納 | 一括払いが困難な場合に分割払い(最長20年) |
| ③ 最終手段 | 物納 | 延納も困難な場合に相続財産(不動産等)で納付 |
⚠ 物納は「金銭でも延納でも払えない」場合の最終手段。延納を飛ばして物納することは原則できません。
延納制度の詳細
延納の要件
【延納が認められる要件(すべて満たす必要あり)】
- ✓ 相続税額が10万円を超えること
- ✓ 金銭で一括納付することが困難な事情があること(困難な金額の範囲で延納)
- ✓ 申告期限までに延納申請書を提出すること
- ✓ 延納税額に相当する担保を提供すること(延納税額が100万円以下かつ延納期間3年以下の場合は不要)
延納期間と利子税率
【延納期間・利子税率の目安】
| 相続財産の区分 | 最長延納期間 | 利子税率(年) |
|---|---|---|
| 不動産等の割合が75%以上 | 20年 | 年3.6%(不動産等に係る税額) |
| 不動産等の割合が50%以上75%未満 | 15年 | 年3.6〜6.0% |
| 上記以外(現金・有価証券等が多い) | 5年 | 年6.0% |
※ 利子税率は特例基準割合によって毎年変動します(上記は法定利率の目安)
物納制度の詳細
物納の要件と対象財産
【物納できる財産の種類と優先順位】
| 順位 | 財産の種類 |
|---|---|
| 第1順位 | 不動産・船舶・国債・地方債・上場株式等 |
| 第2順位 | 非上場株式・社債・証券投資信託等 |
| 第3順位 | 動産(家財・美術品等) |
【物納できない財産(管理・処分が困難なもの)】
- ▲ 抵当権・質権など担保権が設定されている不動産
- ▲ 権利関係に争いがある不動産
- ▲ 境界が不明確な土地・接道義務を満たさない土地
- ▲ 土壌汚染・地下埋設物がある土地
- ▲ 賃借人が占有し明け渡しが困難な建物
→ 「物納しよう」と思っても、条件が整わずに却下されるケースが多いため注意が必要です
物納の収納価額
物納財産の価額は相続税評価額(路線価等)が使われます。時価より低い評価額で納付できる場合と、時価より高い場合があるため、物納が得かどうかは慎重に比較検討が必要です。
延納・物納に共通する注意点
【よくある失敗・注意事項】
- ▲ 申告期限内に申請書を提出しないと利用できない(期限後の申請は原則不可)
- ▲ 延納中に財産売却等で資金ができた場合は繰り上げ納付が有利(利子税の節約)
- ▲ 延納から物納への切り替えは一定期間内であれば可能
- ▲ 延納の担保として不動産を提供する場合、抵当権の設定が必要(登記費用が発生)
まとめ
相続税の延納・物納は「払えないときの最終手段」ですが、利子税・手続きの複雑さ・物納財産の条件など考慮すべき点が多くあります。理想は生前から相続税の試算を行い、納税資金(生命保険・現金)を準備しておくことです。すでに相続が発生している場合は、申告期限までに税理士に相談して最善の方法を選択しましょう。
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