家なき子特例とは?別居の子が実家を相続するときに使える80%減額の要件と落とし穴

通常、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地)は「同居していた親族」に限られますが、「家なき子特例」を使うと、被相続人と別居していた子(一定要件を満たす場合)でも自宅の土地を330㎡まで80%減額で評価できます。ただし、2018年の税制改正で要件が厳格化されており、注意が必要です。

家なき子特例とは?

小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用対象者は、原則として「配偶者」または「同居していた親族」です。しかし、被相続人に配偶者も同居親族もいない場合に限り、別居の親族(いわゆる「家なき子」)でも特例が適用できる制度が家なき子特例です。

【家なき子特例の基本】

項目 内容
減額割合 80%(特定居住用宅地と同じ)
限度面積 330㎡
適用できる人 被相続人の親族(3親等内)で下記の要件をすべて満たす者
前提条件 被相続人に配偶者がいないこと+同居していた相続人がいないこと

家なき子特例の適用要件(2018年改正後・現行)

2018年4月以降の相続から、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

【家なき子特例の5つの要件(現行)】

要件 内容
被相続人の配偶者がいないこと(配偶者が先に死亡 or 離婚済みのケース)
被相続人と同居していた法定相続人がいないこと
相続開始前3年以内に、取得者・取得者の配偶者・取得者の3親等内の親族・取得者が支配する法人が所有する家屋に住んでいないこと(2018年改正で追加・最重要
相続開始時に取得者が居住している家屋を過去に所有したことがないこと(2018年改正で追加)
相続開始から申告期限まで、その宅地を継続して所有していること

2018年改正で「封じられた」節税策

改正前は要件が緩かったため、意図的に「家なき子」状態を作る節税策が横行していました。改正によってこれらは封じられています。

【2018年改正で封じられた手法(NG例)】

手法 改正前 改正後(現行)
子が自分の持ち家を「別の親族(親等)」に贈与してから賃貸に住む 適用可だった ✗ 3親等内の親族所有の家屋への居住は要件③で除外
子が自己所有の会社に持ち家を売却・賃貸で住む 適用可だった ✗ 取得者が支配する法人所有の家屋への居住は要件③で除外
過去に持ち家を所有していたが現在は賃貸に住んでいる 適用可だった ✗ 要件④で除外(現在の居住家屋を過去に所有したことがないこと)

家なき子特例が使える典型的なケース

【家なき子特例が使える典型例】

  • ✓ 父が死亡(母は先に死亡)。子は賃貸マンション暮らし(自己所有の家なし)で3年以上居住中。→ 要件を満たす
  • ✓ 両親とも死亡。子は会社の社宅住まい(自分・配偶者・3親等内の親族所有でない)。→ 要件を満たす可能性あり

【家なき子特例が使えない典型例】

  • ✗ 配偶者(母)が存命 → 要件①を満たさない
  • ✗ 別の兄弟が被相続人と同居していた → 要件②を満たさない
  • ✗ 子が3年前まで持ち家を所有していた(現在は売却して賃貸住まい) → 要件④を満たさない
  • ✗ 子の配偶者が所有するマンションに住んでいる → 要件③を満たさない

節税効果のシミュレーション

【家なき子特例の節税効果例】

前提:自宅の土地(250㎡)、路線価評価額6,000万円。子1人が相続。法定相続人は子1人のみ(配偶者なし)。子は賃貸暮らし・持ち家なし。

  • 特例なし:課税遺産総額 6,000万円−3,600万円(基礎控除)= 2,400万円 → 相続税約270万円
  • 家なき子特例あり:6,000万円×20%=1,200万円 → 基礎控除以下 → 相続税ゼロ
  • 節税効果:約270万円(相続税ゼロに)

老人ホーム入居中の被相続人への適用

被相続人が老人ホームに入居中に亡くなった場合でも、以下の要件を満たせば自宅の土地に家なき子特例を適用できます。

  • 要介護認定・要支援認定などを受けていたこと
  • 自宅が他の人の居住用等に使われていないこと
  • 家なき子特例の他の要件もすべて満たすこと

まとめ

家なき子特例は2018年の改正で要件が大幅に厳格化されました。「賃貸暮らしの子なら使える」という単純な話ではなく、3年以内の住居歴・配偶者の持ち家・3親等内の親族の家屋への居住など細かい要件を一つひとつ確認する必要があります。

当ラボでは、小規模宅地等の特例・相続税申告に精通した税理士が初回無料相談を行っています。「家なき子特例が使えるか確認したい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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