共有名義不動産の問題と解消方法|売却・分割・持分買取・共有物分割請求を解説
「相続で不動産を兄弟3人の共有名義にしたが、売りたいのに全員の同意が取れない」「共有している不動産の固定資産税を誰が払うかでもめている」──共有名義不動産はこうしたトラブルの温床になりやすい財産形態です。共有のリスクと解消方法を詳しく解説します。
共有名義不動産が生まれるケース
- 相続で不動産を分割できずに相続人全員の共有名義にした
- 遺産分割協議が未了のまま放置して法定相続分で共有状態になった
- 夫婦でペアローンを組んでマイホームを購入した
- 世代をまたいで相続が重なり、共有者が増加した(数十人になることも)
共有名義不動産の「困った」リスク
| 行為 | 必要な同意 |
|---|---|
| 日常的な管理(清掃等) | 持分の過半数の同意 |
| リフォーム・改良(軽微なもの) | 持分の過半数の同意 |
| 売却・抵当権設定・賃貸借 | 共有者全員の同意が必要 |
| 解体・大規模リフォーム | 共有者全員の同意が必要 |
その他のリスク:
- ▲ 共有者が亡くなると、その持分が子ども・孫に相続されさらに共有者が増える
- ▲ 共有者の一人が認知症になると、その持分の処分・同意が困難になる
- ▲ 共有者が差押えを受けると、不動産全体に影響する可能性がある
共有解消の4つの方法
① 共有者全員で売却(換価分割)
最もシンプルな方法。全員が同意して不動産を売却し、売却代金を持分割合で分配します。全員の同意が必要なため、一人でも反対すると進められません。
② 現物分割
土地を物理的に分割して各共有者が単独所有する方法。広い土地の場合は有効ですが、建物が建っている場合や面積が小さい場合は困難です。
③ 持分の買取り
共有者の一人が他の共有者の持分を買い取り、単独所有にする方法。買取る側に資金が必要ですが、一番スムーズに解消できることが多いです。
④ 自分の持分だけを売却
他の共有者の同意なしに、自分の持分だけを第三者に売却することは法律上可能です。ただし、持分だけでは自由に使えない不動産を買う人は少なく、市場価格より大幅に低い価格になることが多いです。
共有物分割請求(裁判による強制解消)
共有者間で合意できない場合、共有物分割請求訴訟を家庭裁判所(または地方裁判所)に起こすことができます。
- 共有者間で任意の協議を行う(まず話し合い)
- 協議が不調の場合、裁判所に共有物分割請求を申立て
- 裁判所が現物分割・換価分割(競売)・価格賠償(買取り)を命じる
- 判決に従って分割を実施
※ 2023年の民法改正で「所在不明・意思疎通不能の共有者」への対応が容易になりました
2023年民法改正:不在者の持分を売却できるように
2023年4月施行の改正民法により、共有者が不明・連絡がつかない場合でも、裁判所の決定を得ることで持分の売却・管理が可能になりました。数十年放置してきた共有不動産の解消が進みやすくなっています。
まとめ
共有名義不動産は「とりあえずの妥協策」として選ばれがちですが、将来的に大きなトラブルの種になります。相続の場面ではできる限り共有を避け、誰か一人の単独所有にするか、代償分割(現金を支払う)で解決することが長期的に有利です。すでに共有状態にある方は、早めに弁護士・司法書士に相談して解消策を検討することをお勧めします。
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